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薬局で待たされる理由6選 待たされるくらいなら飛ばしちゃえ

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:門前薬局、病院薬剤師、製薬メーカー、在宅

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

どうして薬局では待たされるのだろう?そう感じた人は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?

薬局の調剤室は必ず外から見て中の作業の様子がある程度見えるように設計されているので、中で作業している薬剤師や調剤従務者の動きが気になる方もおられると思います(というか、そういう視線を普段から感じています)。

調剤に時間がかかる理由

1)処方箋の入力に注意が必要なため



医院から処方された処方箋を受け取って、皆様は調剤薬局に向かわれると思います。その場合、一度薬局では処方箋の情報をパソコンに入力し、料金の確定や、オンラインを通して保険情報の確認をする必要があります。

かつてはこれらの入力作業を手作業で行っていました。手作業で行えば、人為的なミスが生じることもあるため、入力情報のチェックにはやはり手間がかかりました。

最近の処方箋にはQRコードが記載されているものが多くあります。それをパソコンで読み取ってしまえば、少なくとも入力の段階でのミスの確率はかなり減りました。

ところが同じお薬でも、さまざまなメーカーのものがあります。その薬局で採用しているメーカーのお薬の登録をこの段階で行わないといけないため、この点で手作業の必要が生じます。特に新型コロナ以降、またジェネリック医薬品の流通の混乱あったことなどから、一つの薬局で複数のメーカーのお薬を取り揃える必要も生じたため、この手作業がどうしても必要になってきます。

2)お薬の棚からお薬をピッキング

パソコンに正しく処方情報を登録したら、次は棚からお薬を取り揃える必要があります。


ところが薬局の中には通常、小さな薬局でも1000種類近くのお薬があります。同じ成分のお薬でも、成分の量の違うものが数種類あるのが普通です。塗り薬も軟膏だけでなく、クリームもあります。これらは別のお薬になります。


薬局で採用されている(卸さんから仕入れて準備がされている)お薬であれば、少なくとも薬局内にあるのですから、それを取れば良いのですが、場合によっては薬局内にないお薬もあります。たったその一つのお薬のために、調剤がストップしてしまう。

お薬の準備がない場合、卸(おろし)さんに電話をして、いつ迄に入荷できるか?を確認する必要があります。

ところが、普段取り扱いのないお薬は、一度その患者様の処方箋に対応した後で、払い出しがストップしてしまうことがあるため、「小分け」(こわけ)と言って、必要な数を近郊の薬局などに依頼してわけてもらうことがあります。お薬は1錠、100円を超えるものが少なくないため、払い出しがストップすることは小さな規模の薬局の経営にとって死活問題なのです。

そして小分けしてもらうとしたら、どのくらいの時間で取りに行けるか?また取りに行ったとしても、患者様のそれまでの手持ちはあるか?また患者様が準備できるまでに待つことができるか?そういったことを確認する手間と時間の必要があるのです。

3)分包などの手間が必要な処方箋があるため

処方箋の中には、粉のお薬が入っている場合も多くあります。既製品の分包品がある場合は、それを取り揃えれば良いだけですが、既製品がない場合などは、薬局内で分包しなければなりません。分包のためには、お薬を取り揃えるところから始めて、それを開封し、粉砕し、分包機にかかる必要があります。

また軟膏の混合が必要な場合があります。たとえば炎症が生じている皮膚にステロイドが処方されます。そのステロイドを使用するにあたって、皮膚に塗り伸ばすためにワセリンが一緒に処方され、混合の指示が入ることがあります。

その場合、「軟膏版」という器具を用いて薬剤師が複数の軟膏を練って均等に混ぜる必要があります。この作業はお薬を作り出す作業とみなされて、薬剤師の免許を持った人が担当する必要があります。だれでもやって良い作業ではないので、その点で制約が生まれているのです。


4)薬局の多くは施設向けのお薬の調剤が絡むため

多くの薬局は施設系の仕事も受け持っています。施設に入居した高齢者の方々のために医師が往診して処方箋を出します。その処方箋に基づいてお薬を準備します。

施設に入居している高齢者の方々への処方は、基本は分包作業が必要です。お薬の管理の必要、また服薬のコンプライアンス向上のためです。

この分包作業はとても気を使います。30日分の処方であるとして、間違ってお薬を取り揃えたとしたら、30日続けてお薬を間違って飲むことになるからです。それは大変なことです。

分包作業についてはこちらの『薬剤師が粉剤の調剤で気をつけている点』という記事で解説させて頂きましたが、これはとても手間のかかる作業です。薬局の運営上、施設系のお薬を取り扱うことは多くの薬局にとって避けられないのです。

また私どもふじやま薬局のように、在宅系の業務を行うことも多くの薬局がしていることです。そしてやはり在宅系の調剤は、基本、分包作業が伴うのです。

5)取り揃えたお薬の監査が必要なため

お薬を正しく入力して、棚からピッキングしたとしても、最後に「監査」が必要です。入力のミスやピッキングのミスがないかを改めて検証することが必要です。


原本である処方箋と照らし合わせて、入力にミスがないかを確認するわけですから、改めて最初に戻ってイチから最終チェックすることになるわけです。

6)服薬管理の上で検証が必要なため

また薬剤業務の上で、患者様がその処方箋に基づいた服薬をするにあたって、本当に問題はないか?の確認をする必要釜あります。「併用薬はないか?」「併用薬との飲み合わせに問題はないか?」「継続中のお薬について副作用症状は出ていないか?」など処方箋とお薬手帳を照らし合わせつつ確認することが薬剤師には求められています。

さらに患者様と向かい合う場面では、患者様から様子を伺って、何か処方上の気掛かりな点がないかの確認をすることも求められます。医師や、医師の指示のもとにある看護師が処方箋を記載する上で、何か入力違いを起こすこともあるからです。

医師がお薬を出し忘れて、投薬の段階で気がつくということも珍しくありません。患者様は出してくれるものと思っていても、医師がそう判断しなかったという場合も多くあるのです。

以上のような薬局内で行われている業務上、必要となる確認作業について、多くの方々があまり意識しないで薬局で待たれていると感じます。薬剤師業務には、対人と対物の両方の業務があり、それぞれに手間のかかる手順があるため薬局では待つことになるのです。

薬局で待つのが好きでない方はどうしたら良いか?

以上のように、薬局ではどうしても待つ必要が生じるわけですが、その待ち時間を短縮することはある程度可能です。

1)処方箋を預けて後で取りに来る

海外の薬局で患者様が待つことはあまり無いと聞いたことがあります。そもそも待つのが嫌な国民性の場合には、薬局に処方箋を預けたらさっさと帰って翌日以降に取りに来るようです。

日本人は、待つのは得意な国民性かもしれません。だから薬局でも待たれるのだと思います。だからそれに応じて、薬局側も効率化や人材教育を進めて、少しでも待たせない改善がされています。

でも日本の薬局でも、後で取りに来られるのは問題ありません。一度買い物に行かれて戻ってこられる方も多くいらっしゃいます。大手のモール企業の中には、薬局を運営している所もあります。薬局に処方箋を一度預けて、その間に買い物をしてもらうのが目的なのかもしれません。

2)LINE通知などを活用する

薬局によってはLINEで処方箋を処理してくれるところも増えています。ふじやま薬局もこれに対応させていただいてます。
https://line.me/R/ti/p/


LINEでふじやま薬局と友達になって頂いて、そのLINEに処方箋の写メを送っていただければ、その内容に基づいて、あらかじめ入力作業やピッキング作業、また分包作業をさせていただくことが可能です。

準備ができたらその旨を通知させていただくので、その通知を待って薬局に来ていただくことが可能です。薬局に来てから待ったり、また時間に買い物をするのではなく、そもそも待たないためにあらかじめLINEで処方情報を送っていただくのです。

このLINEでのやり取りがとても有効なのは、市立病院などの大きな病院から処方される処方箋でお薬を貰う場合です。大きな病院の前の薬局は待たされる時間が長くなる傾向にあります。多くの患者様が押しかけるからです。

でもその病院から離れた場所、しかも自宅方面の薬局にLINEで情報を飛ばすなら、自宅までの移動時間を使って薬局で待つ時間を削ることができるわけです。

薬局が患者様を待たせるのは申し訳ないことですが、それにも理由があります。それでも待ちたくないのは当然のことで、薬局の利便性を高めるためにLINEなどを活用していただけると良いと思います。

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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