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「保険調剤」って何?

栗原憲二

栗原憲二

テーマ:門前薬局、病院薬剤師、製薬メーカー、在宅

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

今日は「保険調剤」って何?というお話をさせていただきます。

Ⅰ.保険調剤薬局とは?

調剤薬局の入り口には「保険調剤薬局」であることの掲示物が貼られています。単に「調剤薬局」なのではなく、どうして「保険調剤」の薬局なのでしょうか?

「保険調剤」薬局とは、社会保険や国民健康保険などの各種の健康保険を利用することの出来る薬局のことを指します。

II.保険大国日本

日本は国民皆保険制度をとっており、基本、すべての国民が何かの健康保険に入っています。

一部、自己選択で保険料を払わないで、すべての医療費を自己負担で支払う選択を取られている方もおられますが、割合としてはかなり少ない。これは保険がないので病院での診察代やお薬代をすべて実費で負担されている場合です。

健康保険に入っていれば1割から3割のみの医療費の負担、となりますので、これはとても安心な制度です。

たとえば日本のような保険制度のないアメリカでは、健康保険は全て任意で、対象として保険の効く医療も保険の種類によってまちまちで、保険が効いたり効かなかったりします。当然、幅広く保証してくれる保険は高額になります。聞いた話では、アメリカで歯医者にかかる場合、数十万円単位で費用がかかることが少なくないようです。

その点、日本の医療保険は、先端医療など特別なものは除いてほぼすべての医療行為に保険が有効です。また月額の医療費の上限も設定されているため安心です。

保険調剤薬局はそのような皆様の健康保険を利用することの出来る薬局ということになります。

Ⅲ.選定療養に気をつけよう

ただし最近は、この保険制度にも、少し例外も出てきました。国の医療費が高齢化に伴って増大していく一方なのも踏まえて、お薬代を安くするために後発医薬品(いわゆるジェネリック医薬品)を使うことを国が推奨しています。先発医薬品とは、そのお薬を開発した製薬会社が売りに出して国から認可を受けたお薬であり、ジェネリック医薬品に対してより高額な費用がかかります。

ジェネリック医薬品は、その先発医薬品の特許が切れた段階で発売され一般の薬局に出回ります。先発医薬品よりも安くなっています。


国は医療費を抑制するために、皆様にこのジェネリック医薬品の利用を推奨しているわけです(先発品を使えば、それだけ保険で賄う必要のある医薬品代が高くなってしまうのです)。

でも、ジェネリック医薬品を使うのは「不安」ということで、あえて先発品の医薬品を選択される患者様がおられます。処方箋上、そのような対応が可能な処方箋とそうでない処方箋があるのですが、もし可能なら先発品を準備することになります。

ただしその選択が、医師の判断ではなく患者様の要望による場合には、「選定療養費」という形で、ジェネリック医薬品を使った場合との差額に関して、法の定める通り、患者様の負担となっています。

Ⅳ.保険調剤は法改正が絡むので学び続ける必要がある

ちなみにこのような本が販売されています。


この本は、保険調剤薬局が行う業務に関して、薬局が患者様や各種保険機関にどのような保険の請求が可能なのかを、法令の解説とともに紹介してくれているものです。

Ⅴ.調剤報酬は頑張っている薬剤師の働きの味方です

薬剤師が薬局内で行う薬学的管理は、知識や経験(また薬剤師免許)を活用するもので、そういった薬学的行為を患者様にお代金として請求して良いものなんであるのかを紹介してくれているわけです(これを調剤報酬と言います)。つまり、薬局は単にお薬を売っているわけではなく、それに伴って簡単に言えば薬学的管理代を頂戴しているのです。

いったいどのような調剤報酬を薬局側が受け取っているかは、お薬と一緒に患者様の手元に渡される明細に明らかにしておく必要が法令で定められているため、皆様も須く受け取っておられるかと思います。

薬局側からすると、この点数を取り忘れてしまうと、せっかく行った薬学的な作業がお代金として発生しないことになるため、薬局の経営にとっても死活問題となるものです。

薬局や薬剤師が、より相応しくお薬を患者様にお渡しすることを調剤報酬という形で正当に評価してくれる基準となっていますので、より良い働きをしたいと望んでいる薬局薬剤師の、とても心強い味方となっています。

お薬と一緒に受け取られる明細を見て、薬局薬剤師の働きについて想いを馳せていただけるなら幸いです。

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栗原憲二
専門家

栗原憲二(薬剤師)

ふじやま薬局

店舗は整形外科並びに内科、透析医院の処方の授受を受けているため、普段から幅広いお薬を取り扱っています。在宅では、個人宅並びに施設担当。富士・富士宮地区を幅広く車で訪問させていただいております。

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