ソーシャルワークという考え方で1人の人格・人生を捉える
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
普段、富士市本市場にあります田辺整形外科前にて調剤をさせていただいてますので、毎日のように「痛み」を抱えた患者様と向かい合わせていただいてます。
目次
高齢になられると、腰痛や膝の痛みを抱える方が多くいらっしゃいます。
1)高齢者に多い腰痛や膝痛
腰痛は背骨の神経を圧迫するのが原因のものであったり、腰の筋肉の炎症から来ているものなどあります。膝の痛みの場合には変形性の関節炎、一時的な使い過ぎ、また打撲から来る痛みなどがあります。
2)腰痛の背後には内臓疾患などが隠れている場合がある
注意が必要なのは、腰の痛みは腰部から来るのみならず、癌や心臓、腎臓、膵臓などの各種の疾病から来るものも少なくないということです。最近は心因性の腰痛と呼ばれるものも言われるようになってきました。
整形外科の専門医に診てもらう意義という点では、痛みの原因が実は他の疾病から来ている場合もあり得るから、ということが大切と覚えていただきたいです。
また機能的な障害から来る腰や膝の痛みは、早く問題を解決しないと日常生活上の問題を生じさせてしまうことが多いため、早め早めの対策を打って出ることがとても大切なのです。
3)入院がきっかけに生じる身体機能機能低下
在宅に携わっていると、腰や膝のリハビリに限らず、さまざまな疾病による入院から退院して来た方々が、入院による体力の低下などからリハビリが必要なことがしばしばあります。
入院中に機能低下を起こしてしまうのは、そもそもの疾病から来るものも当然多いですが、
- 入院に伴うストレス
- 環境変化などから食欲が低下し体力低下、また筋力低下を起こしてしまう
などの原因があります。そのため最近は院内食の重要性もよく言われるようになってきています。
4)退院に向けたリハビリテーション
最近は入院中にも、理学療法士さんや作業療法士、言語聴覚士さんなどが退院に向けてのリハビリ対応をされている場合が少なくありません。入院において単に疾病を治すに留まらずに、日常生活をいかに継続してQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を維持していくかが問われている時代なのです。
5)訪問リハビリテーションの担い手
訪問リハビリテーションと呼ばれるサービスは、医師の指示のもとに
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
といったリハビリ専門職が訪問し、心身の健康に関わる維持的リハビリテーションを実施するものです。
それぞれの働きは以下のようなものとなっていさす。
理学療法士・・
日常生活を送る上での基本動作を支える身体の機能維持を目指す
作業療法士・・
手先の動きなど、より創造的な人間としての行動を維持させるための訓練を行う(そのための作業環境整備の努めも担います)
言語聴覚士・・
言語の発語、また嚥下機能の維持・回復
これらリハビリ専門職を利用者に派遣する事業者には、病院もしくは診療所、そして指定許可を受けた介護老人保健施設もしくは介護医療院となっています。
リハビリ専門職の派遣元は?
病院もしくは診療所
指定を受けた介護老人保健施設もしくは介護医療院
訪問リハビリテーションを行う事業者には
1)リハビリテーションの計画作成
2)リハビリテーション会議の開催
3)診療記録の作成と医師への報告義務
が課せられています。
6)医療保険を用いたリハビリテーション
利用者は多くの場合、介護保険の利用認定を受けた要介護者ですが、介護保険でなく医療保険で受けることも可能です(介護保険がある場合には介護保険があくまでも優先されます)。また要支援者の場合は介護予防訪問リハビリテーションのサービスを受けることになります。
7)自宅で受ける医療的リハビリテーション
骨折、打撲、変形性の疾患などによって医療措置を受けた非要介護者患者が病院内にて治療的(急性期)リハビリテーションを受け、退院に向けて回復期リハビリテーションサービスを受けた後、それに加えて自宅にて機能維持のための維持的リハビリテーションを受けることが可能なのです。
医療と介護の垣根が無くなりつつあるのは、高齢化社会という時代背景から必然的に生まれてきた変化と言えるかもしれません。介護が必要になる以前に、患者の機能低下を未然に防ぐためのサービスは、今後もどんどん広がっていくでしょう。