町で見かける地域包括支援センターって何するところ？

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

今日は地域包括支援センターの働きについて紹介したいと思います。

地域包括支援センターっていう言葉に一度は接したことがあるのではないでしょうか？最近は地域のコンビニのような立地に「地域包括支援センター」という看板が立っているのを見かけることが多いと思います。

看板は見たことがあるとしても、その働きは、介護の現場にいないと具体的にイメージしにくいと思います。

1)地域包括支援センターの働き

地域包括支援センターは、介護保険における包括的支援事業を統轄的に支援するために市町村が設置した事業所です。これから介護を必要とする可能性のある人たち、また支援を受ける可能性がある人たちの窓口として大変重要な役割を無料で担っている機関です。

構成員は保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の他、各種専門職や事務員が配置されています。

介護福祉事業における地域支援事業には大きく2つの分野があります。

2)介護予防・日常生活支援総合事業

地域支援事業の1つ目は、「介護予防・日常生活支援総合事業」。

「予防」もしくは「生活支援」とあるように、介護を必要とする人（もしくはその重度）を、出来るだけ増やさないようにという趣旨を持つ事業です。

これはさらに「第1号事業」と「一般介護予防事業」に分けられます。

第1号支援事業

❶「第1号事業」は、介護予防・生活支援のサービスそのものを提供する事業です。訪問、通所、生活支援、介護予防ケアマネジメントといった形で、各福祉事業所が要介護者ならびに要支援者を支援する働きです。

これは機能低下に関するチェックリスト項目の該当者をも幅広くサポートする事業でもあります。一部、地域包括支援センターがその役割を担うことがあります。

「チェックリスト項目」とは、25個の質問からなる身体の機能低下状況の検査基準です

提供されるのは介護サービスそのものなので、運営にあたるのはデイサービスセンターや訪問看護ステーション、また各種福祉施設になります。

一般介護予防事業

❷「一般介護予防事業」は、言ってみれば介護についての教育啓発に関わる教育事業と言えます。対象は第1号（つまり65歳以上）の被保険者並びにその介護にあたる家族や介護者です。

介護予防のための講演会や講座の開催などを行なっていますが、これも地域包括支援センターが受託を受け担当することがあります。

3)包括的支援事業

地域支援事業の2つ目は「包括的支援事業」と呼ばれる働きで、これはまさに地域包括支援センターの働きが中心を担うものです。

現在は基本的に8つの事業内容となっていますが、この内、次の3つは委託という形で他の事業所が担うことも可能となっています。

1)在宅医療・介護連携推進事業

　→委託先は保健所や医師会など。関連機関の連携のための会議等の開催をします。

2)生活支援体制整備事業

委託先は社会福祉協議会など。介護を担う人材の育成などを担う

3)認知症総合支援事業

委託先は精神科病院などです。認知症患者とその家族へのサポートを行います。


これらは包括的支援事業の中でも「社会保障充実分」として区分され、各介護福祉事業所の働きと一体なものと理解出来ます。

その他の、地域包括支援センターが中心を担う5つの働きは以下のようになっています。

1)第1号介護予防支援事業

　基本チェックリストの該当者に対するケアプラン作成などのマネジメントをする働きです。

2)総合相談支援事業

　被支援者やその家族の相談を受け付けて対策を立てる働きです

3)権利擁護業務

　高齢者への虐待などの早期発見や防止に努めます

4)包括的・継続的ケアマネジメント支援事業

　ケアマネージャー（介護支援専門員）に対してアドバイスを行う

5)地域ケア会議推進事業

　地域ケア会議の運営に携わる

地域包括支援センターは市町村が社会福祉事業の一環として運営する無料の相談窓口であり、窓口には社会福祉士や保健師主任ケアマネージャーといった専門家がいて、それぞれに必要なサービスを提供する関連機関を紹介してくれます。自分や家族が、そこで紹介してくれるサービスの該当者であるかどうかを判断したりしてくれるので、一度近くの窓口を訪問していただくといいと思います。