要介護・要支援サービスは、自宅や施設で相応しい形で受けましょう
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
この高齢化の進んだ現代では、医療と介護は一体のものと理解することが大切です。そのため保管調剤を行っている私どもも介護保険制度について考える機会がたくさんあります。
介護保険は社会保険制度の1つですが、「老齢化」という誰もが迎える生理現象に対して国が私たちに用意してくれているライフラインの1つであると理解することが大切です。
1)介護保険は社会扶助の制度
でもそのライフラインは、全く無償で提供されるものではなく、社会扶助の精神に基づいてそれぞれの被保険者が負担する保険制度でもあります。
今日はその介護保険制度を実際に運用するにあたって必要となる保険料について解説をしたいと思います。
2)第1号保険と第2号保険
大前提として介護保険には大きく2種類あります。1つは65歳以上の人が該当する第1号被保険。そして40歳以上の人が該当する第2号保険です。
この第1号保険と第2号保険で徴収法が異なっていることを頭に入れていただきたいです。
3)第1号保険の徴収方法
第1号保険では、まず市町村介護保険事業計画に基づいて「定額保険料」が算出されます(基準額と言います。各市町村によって保険料は異なります)。その上で所得額に応じて段階的に負担額を設定することになります(基準額に対して0.3倍~1.7倍)。現行では基本的に9段階に分けられますが、市町村ごとの条例でより細分化されることがあります。
実際の徴収(納金)方法としては、自宅に納入通知書を発送する普通徴収と、公的年金が年額18万円以上の該当者には年金からの天引きの対応が取られています。
特に天引きの場合は、被保険者が実際に自分で負担しているという意識を持ちにくくなりがちです。でも徴収のシステムを理解することで介護保険制度について考えるきっかけにもなるかと思います。
4)第2号保険の徴取方法
それに対して40歳以上の第2号被保険者については、そもそも介護保険が「医療保険に加入している者」という制約があるために、医療保険料と合算して徴収される方法が取られています。
給与所得者(いわゆるサラリーマン)は給料より天引きされる形をとりますが、自営業者などの場合には健康保険料に合わせて納める形となります。
5)医療保険の種類
第2号被保険者については各種の医療保険者(保険サービスを提供する側)が徴収を負担することになります(保険サービスを提供するのは以下の保険者です)。
◉組合管掌健康保険
大企業被用者を対象とする健康保険
◉全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
中小企業被用者を対象とする健康保険
◉船員保険
船員対象
◉共済組合
公務員対象
ただし、これらの保険者が介護保険料を各被保険者に送金するのは効率が悪いため、社会保険診療報酬支払基金という機関が各市町村に対して交付金という形で支払うことになっています。
まとめ 社会扶助制度としての介護保険
介護保険制度のメリットを受けるためには、その保険料の徴収方法をまずは理解し、当事者意識を持つことが大切です。それは介護保険という社会扶助としての制度であるという理解を持つことに繋がり、自分の街の共同生活という意識を持つことにつながるでしょう。