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コラム

全国どこの処方箋でも受け付けますって言いますが、実際のところはどうなの

2024年6月18日

テーマ:夜間対応、在宅医療、かかりつけ薬剤師

コラムカテゴリ:くらし

富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。

調剤薬局の看板や入り口に「全国の処方箋を受けます」と記載してあるのをみかけたことがあるとおもいます。


1)薬剤師の「応受義務」とは

実際のところ、例えば北海道で受け取った処方箋を静岡県の薬局に持ってくるような機会って、滅多にないと思います。


それでもなお、なぜそんな記載があるのか不思議に感じたことはありませんか?

実は薬剤師法第21条には以下のように記載されています。

第21条 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。


つまり言ってしまえば、「全国の処方箋を受け付けてます」と看板に書いてあっても書かれてなくても、薬剤師のいる薬局は、北海道だろうと沖縄だろうと、その地区にある病院の処方箋を持って来られる患者様がいる場合には、応受する義務があるのです。

2)あえて書かれている「全国どこでも」の趣旨

ではどうして、あえて書かなくても良いことをあえて掲げているのか?と思いませんか?

それは、言ってみれば「私どもの薬局は、どの医院の処方箋だろうと皆様のために最善を尽くしてお薬を調剤させていただきます」という心意気が掲げられていると言って差し支えないでしょう。

3)最善を尽くさないといけない薬剤師の働き

実際のところは、例えば皮膚科医院の前にある薬局に内科の処方箋を持って行った時、基本的なお薬は大抵揃っていると考えて良い(たとえば解熱剤とか下剤とか)のですが、特殊なお薬(極端に言えば希少疾患などのお薬)は、在庫は無いと見込むのが自然です。

それでも薬剤師には、何しろ「応受義務」があるのですから、最善を尽くして、お薬の卸(おろし)さんから取り急ぎで届けてもらったり協力関係にある近郊の薬局からお薬を小分けでしてもらうなどして対応しようとするでしょう。


4)場合によってはこんな手段もある

でも、内服することに緊急性を有するお薬(解熱剤とか、痛み止めとか抗生剤とか)の処方箋が来たとして、そのお薬が卸さんの在庫にも近郊の薬局にもない場合、どうしたら良いでしょうか?

その場合、わたしは、薬剤師が在庫のある薬局を調べて、そこに患者様を誘導してあげることが、薬剤師法の趣旨に照らして妥当と考えます。

手持ちのお薬がない、卸さんに頼んでも明日にならないと入らない、だけど応受義務があるからうちの薬局で対応するんだ、と頑なな対応を薬剤師がするとしたら、それは患者様の権利を侵害していると言って良いでしょう。

5)かかりつけ薬剤師を身近に持つ

薬剤師は実際なら実務の現場では、いろいろな医院の処方箋を患者様が持って来られることを想定して、在庫を管理しています。ほんの一剤のお薬の準備のために手間と時間をかける薬剤師さんも多くいます


継続的にでるお薬であり、自分の信頼しているかかりつけの薬剤師さんがいるとしたら、一度相談して、「こういう処方箋を受け取ったがどうしたら良いか?」と、薬局に行く前に相談されることも良いでしょう「かかりつけ薬剤師」を患者様が持つということは、お薬の無駄な処方による医療費高騰を抑えるために国の推進する指針でもあります。

ぜひ、「全国どこの処方箋でも受け付けます」という看板があるかどうかよりも、信頼できる薬剤師さんを身近に持っておくことをお勧めします。

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