お薬よもやま話 その1ーお薬の飲み方
富士市富士宮市にて在宅医療に携わっている薬剤師の栗原です。
今日は「実際のところ在宅医療ってどうなの?」という質問にお答えしたいと思います。
1)在宅医療とは?
在宅医療は、これまでなら病院などの医療機関で過ごして来られたような患者様が、慣れ親しんだ自宅で医療補助を受けることのできる制度です。
介護、もしくは介助が必要な方であれば当然として、末期がん患者、神経性難病患者、所在地や交通手段の有無を理由とした通院困難者などが対象となります。
2)医師の訪問
医師が自宅に来てくれる往診は基本的には2週間に1度です。
自宅に医師が基本的には看護師と来てくれて、その場で処方箋をMobile Wi-Fiを利用してFAXなどで薬局に飛ばしてくれます。それを応需した私どものような薬局がお薬を自宅までお届けするわけです。
その他、臨時(緊急時)の対応もあります。
急に体調が悪くなった場合は医師と看護師が駆けつけて聴診してくれることもありますし、緊急性を要する場合や、予めその症候の前兆が想定されていた場合などは、電話往診という形で処方箋だけ出して薬剤師が自宅までお薬をお届けさせていただくこともあります。
3)お薬の配薬について
お薬の管理は患者様一人一人に相応しくカスタマイズしております。お薬カレンダーを利用して一包化したものを2週間分セットすることはもちろん、シード状のお薬を薬袋に入れてお渡しするだけという場合もあります。ご家族やご本人のお薬の管理がしっかりしていれは、そうさせていただいてます。
お薬の管理がご家族やご本人で出来るようなら、認知症対策などもあり、余分なサービスはしない方が良い場合も多いわけです。
また、お薬の管理を他の人に委ねたくないと考える患者様もいらっしゃいます。あくまでも自分で確認しつつお薬を服用したいと考える患者様もいらっしゃって当然と思いますので、その場合は患者様の意思を尊重させていただいてます。
ただし、そういうやり方が明らかに患者様の利益を損失させることになっていると見受けられる場合、それまで培った信頼関係を背景に新しい服用方法を提案させていただくことも少なくありません。
お薬のお届けは、玄関先で済ませる場合もありますし、お部屋やベッドサイドまでお伺いする場合もあります。患者様の生活環境やプライバシー意識を配慮して、負担の1番少ない形でサービスさせていただいています。
4)患者様の生活環境について
在宅医療に携わっていると、疾病は、生活習慣そのものとも密接な関わりがあるということをよく感じます。生活習慣のしっかりしているご家庭では、患者様の健康も安定していることが多いものです。
また介護をされているご家族が、仕事を待っていて、なかなか患者様の面倒を見れないということでは、やはり疾病の進行は早い場合が多いです。しっかりと食事は摂れているか?、また本人の意思を尊重して生活できる環境か?なども大きな要因といえます。
介護者のいない独居の方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合であっても、近郊にご家族やご親族が居られる場合や、通いで介護をされている場合は、私どももお薬の配薬をさせていただく例も多くあります。
完全な独居で、生活そのものが難しい場合はケアマネージャーが手続きを取り、介護施設を紹介することも多くあります。
その場合、介護施設に医師が出向き、私どももお薬をお届けに上がるわけですが、多くの場合、その施設の担当者かお薬の管理をされることになります。その場合は、ご自宅の場合と比較すると、私ども薬剤師の出る幕も多くないのかもしれません。
完全な独居で、身寄りのない方であっても、基本自宅療養で週に2、3回、デイサービスに行く方も多くいらっしゃいます。
この場合、お薬は自宅に届けますので、薬剤師の働くべき領域も広くなります。コンプライアンス、つまりお薬の服用状況が悪いと、色々と工夫をしてしっかり服用していただけるよう、薬剤師も知恵を絞ることになります。
自分の慣れ親しんだ場所はやはり気持ちが落ち着くものです。過去の良い記憶を刺激してくれる情報が多いことも、健康面で良い方向に働く場合が多いのです。患者様が患者様として1日も多くの日を過ごして頂きたい。そのような思いでお手伝いをさせて頂いてます。