誰もが健康であり続けるために介護行政の出来ること
新年早々、日本海の石川県を中心とした地域に災禍をもたらした能登半島地震は、今もなお新聞や報道を通してその被害の大きさを新たに伝えてきています。特に建物の下敷きになったご家族を抱えている被災者の方々のことを思うと、胸が痛みます。
わたしもかつて住んでいた福島の地で震災を経験しているので、今も大きな海を見ると得も言われぬ恐怖心を覚えることがあります。震災はこの東極の地に生きている私たちにとってこれからも身近な出来事として覚えられていくことは間違いないのでしょう。
薬局・薬剤師の備え
私どもは在宅医療に関わる者として、震災時、どのように患者様の生活を守ることが出来るかについて、日々、知恵を持って備えをしていかなければならないと思わされています。
例えば在宅でお薬をお届けするのは2週間分(14日分)の処方が多いのですが、災害に直面してしまうことを考えて少なくとも3日分は余分にお薬をお届けするように、処方医に疑義紹介をかけて対応しています。
薬剤師といえども、現場に生きる者として、自分が患者様のもとに向かえない状況も想定して、患者様情報を薬局内で共有し、担当者以外でも対応可能なように準備しています。
その他にも以下のことに取り組んでいます。
- 外出先でも局内の情報をデータ閲覧できる情報アクセス整備
- 患者様につながりのある連絡先を登録し、必要時に必要な情報を集めたり共有できる共有整備(医療機関、ケアマネージャー、訪問看護、ヘルパーなど)
- 患者様の容体が変化する状況を想定し、365日、緊急時の携帯電話対応ができる応受整備
- 夜間などの時間外でも薬局でお薬を調剤し、もしもの場合でもお薬をお届けする調剤整備(ご自宅や施設などに)
- 内科系のお薬や在宅医療に携わる、各種医療用材の整備を日々更新し続けるインフラ整備(輸液、麻薬、注射用剤、外用剤など)
当然ですがそれに伴って所属する薬剤師も勉強会を通して知識を更新し、日々新しく出るお薬に対応できるよう備えをしています。
移動式の薬局への期待
この度、静岡県の薬剤師会から石川県側に、移動式の薬局とも言える「モバイルファーマシー」
を派遣した都の記事がありました。ある程度、医療対応として機能しうるお薬の在庫を備えるだけに留まらず、一包化や輸液などの無菌調剤に対応できる設備を備えた車です。
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1392722.html
現地に医師が派遣されていれば、避難所だろうと医師は処方箋を用意することができます。それに基づいてこのモバイルファーマシーでお薬を取り揃えて準備し、現地で患者様にお薬をお届けする事ができます。
このモバイルファーマシーの機能は以下です。
- 現地の調剤薬局と連携して在庫の共有(提供)を行う
- 地元の薬局から距離のある避難所付近で調剤を行う
- 避難所や被災家屋の近くで、患者情報を集めつつ服薬指導を行う
- 患者様が正しく服用を守れるように服用時点の同じお薬を一包化する
- 緊急時、輸液の混合などを行うことができるクリーンベンチの配置
- 幼児や錠剤を飲むのが難しくなった高齢者のために粉剤を調剤する
このモバイルファーマシーが現地で用いられることを期待します。
また、もしも被災地にあって、近場にお薬が手に入れる薬局がないということでしたら、一度わたしどものふじやま薬局にお問い合わせください。災害時の薬局の法的対応法として、現在はお薬の郵送も可能です。
一刻も早く、被災者の方々へのケアが行き届きますように。私どもにもできることは何かないかと想うばかりです。