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栗原憲二

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栗原憲二(くりはらけんじ) / 薬剤師

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コラム

いくつかの薬剤師の働き方

2023年8月1日 公開 / 2023年8月4日更新

テーマ:門前薬局、病院薬剤師、製薬メーカー、在宅

コラムカテゴリ:医療・病院

こんにちは。富士市にて在宅医療に関わっている薬剤師の栗原です。

 今日は一緒に働く同僚を少し紹介したいと思いました。

 一緒に働く薬剤師の石河さんは、長く医薬品メーカーで研究開発に携わられました。


 医薬品の研究開発はとても大変な仕事です。うん十年働いても、新薬の開発をして何か大きな成果を上げることができる人はほんの一握りと言われています。そんな中、石河さんは、パルモディアという高脂血症治療薬の開発に携わり、販売にこぎつけたという素晴らしい実績をお持ちの同僚です。このパルモディアは、これまでの高脂結症治療薬とは異なった作用機序を持つお薬で今後の世界展開も期待されている日本発のお薬です。


 私どもと一緒に働いている同僚について、今後も機会があれば紹介していきたいと思っていますが、今日は、一般に「薬剤師」の働き方について紹介していきたいと思いました。

1)薬剤師の男女比

 薬剤師というと、女性薬剤師をイメージする方もまだ多いと思います。なるほど確かに昔は薬剤師は女性がなるものと思われていた時代もあったようです(私の母、そして2人の伯母も薬剤師です)。確かに薬剤師に女性が多いのは今でも変わりません。

 今現在、男女比で言うと、日本における薬剤師の男女比は、1:2です。つまり3人中2人が女性となっています。どうして女性に好まれる仕事かと言いますと、薬剤師の仕事は、狭い局内でお薬を調剤し投薬するという働きで、

①単位時間あたりの仕事としては、肉体的にはそれほど負担は大きくはないこと
②一旦子育てなどで離職しても別な働き場所が見つかりやすいこと
③家事、子育てのために半日勤務をするとしてもそこそこ稼げる事


などが理由として挙げられると思います。

2)男性薬剤師という需要

 でも最近は男性の薬学生の割合も高くなってきました。男性の薬剤師の需要というものがやはりあります。

 たとえば結婚して子供が産まれても離職しないでそのまま職場に留まる割合もまだ高いと言えるでしょう(それが時代的に正しいかどうかは別として)。1日8時間の仕事は、薬剤師という職業であったとしてもやはりそれなりの肉体的負担を強いるものです。

 狭い局内といえども、1日8時間働いて、一日30人から40人の患者様にお薬を投薬し、その後薬歴を書いたりフォローアップしたりすることにはそれなりのエネルギーが必要です。一年に一度は棚卸しをして局内のすべてのお薬をカウントしたり、ちょっとしたことで患者様のご自宅にお薬を届けたりするなど、体力仕事も珍しくはないので、男性の薬剤師の需要は少なからずあります(男性なら多少の無理は期待されるというところも否定できないでしょう・・)。

 薬剤師免許をとった新卒者の就職先としては、門前薬局、病院薬剤部、大手製薬メーカーなどがありますが、最近はドラッグストアの人気も高まってきました。

3)門前薬局

 門前(もんぜん)薬局とは、街の病院の玄関を出たところにある処方薬局です。9割近くをその面前の病院からの処方箋を応需することが少なくありませんので、入院設備を持たない病院に半分所属しているような薬局といえます。昔は病院内の一角にあったりしましたが、薬局の適切な経営競争に基づく医療費削減を目的とする意図もあり、今は病院外に薬局が置かれることが多くなりました。

 門前とは言え病院の外にあるため、門前薬局の薬剤師は患者様の病院カルテを見ることも出来ないので、患者様から聞き取りをして、患者様の病態を理解するといった主体的、能動的な働きが期待されていると言えます。病態学など、患者様についての医療的知見が以前よりも必要とされている働きです。また同時にコミュニケーション力を必要とする働きであり、医療コミュニケーションについての学びも必須です。これは薬学部が4年制から6年制になったことも決して無関係ではありません。

4)病院薬剤師

 病院薬剤師は、病院内の薬剤部に所属し、入院中の患者様のお薬を取り揃え病棟に運ぶ病室患者様のフォローをしていくなどの働きがあります。最近は、薬剤部に所属しながら、日常的に病棟にいて患者様をフォローする病棟薬剤師という働きも出てきました。薬剤部に居て薬剤と向かい合うという「対物」の働きではなく、患者様という「対人」の働きをするという点において、この病棟薬剤師という働きは、ある意味、薬剤師の最先端の働きを担っていると言えるでしょう。

5)大手製薬会社勤務

 大手製薬メーカーに就職した薬剤師は、研究開発に携わるほか、新薬を病院の医師に紹介して回るMR(エムアール)という仕事もあります(必ずしも薬剤師免許を持っていなくてもできる仕事です)。新薬のお薬のデータをしっかりと理解し、病院内で行われる勉強会に資料を用意しパワーポイントを用いて説明したり疑問点に受け答えするなどする仕事です。医師や看護師、病院薬剤師の質問に的確に答える必要がありますので、相当なプレッシャー並びに修練が必要な仕事であることは間違いありません。

6)ドラッグストア薬剤師

 ドラッグストア内の調剤部は、ドラッグストア全体の売り上げに占める割合についてはそれほど高くはありませんが、通院中のお客様の需要を満たすことが出来る(ついでに日用品の買い物をしていってもらえる)、また薬剤師がいるという安心感が売りになるなど、薬剤師が重宝されるなどの背景があります。またOTC薬品、すなわち消費者が自分で選択して購入することができる市販薬についても、薬剤師の説明を聞くことができるとすれば、消費者にとっては、確かに頼れる存在と言えるでしょう。ドラッグストアが競合と自社を差別化するために薬剤師を雇うという流れは、事業展開の先鋭化などの必要性からも、今後も続くものと思われます。

 さて、以上で大まかに「薬剤師の働き」について紹介してきたのですが、まだ触れていない働きがあります。それは「在宅医療に関わる薬剤師」についてです。

7)在宅薬剤師

 私の記事を読んでくださっている読者の方々は「在宅薬剤師の働き」についてそこそこ理解していただけていると思っておりますが、基本的にこの仕事は次のような段取りで進められます。

1)在宅医が患者様の元に訪問し、問診し、必要があれば検査をし、処方箋を書く。
2)処方箋を受け取った薬局がお薬を取り揃え、処方箋の内容を吟味し、問題がなさそうであればお薬を患者様のもとに運ぶ。
3)医師や看護師、ヘルパーの残した在宅ノートを読んだり患者様から体調などを聴取し、お薬をお渡しする


 基本的にはこの流れで仕事が進みますが、その他にも次のような仕事もあります。

1)在宅医とともに患者様のもとを訪れ、医師からの質問に薬剤師として答え、医師の処方作成に貢献する
2)在宅患者様が病院に入院し、退院が決まった時には退院時カンファレンスに参加し、医師から患者情報を受け継ぐ
3)必要があればヘルパー、ケアマネと情報を共有し、副作用症状の有無の判断、よりよい服薬のための一包化、服用方法の提案などを行う


 患者様の中には、医師に伝えるべき事柄を十分に医師に伝えていなかったりする方も、意外と多いものです。伝えるべきことを忘れていたりするなどもありますので、患者様から得た情報の中で医師やヘルパーに伝えるべき事柄があれば自分でコンタクトを取る必要があります。

 わたしどもの薬局では各種栄養剤も扱っておりますが、意外と患者様の栄養状態などが見落とされていることもあります。こちらが栄養剤を患者様に提案した時期を後から振り返ってみると、もう少し早くに提案しておくべきだったと後悔することも珍しくありません。門前薬局や病院では、患者様は普段の生活から切り離された場所にいるとも言えます。在宅に関わる薬剤師は、いろいろな情報アンテナを張って患者情報を集めることが期待されていると言って良いと思います。

 在宅薬剤師といっても、一人でできるものではありません。車で患者様の元に訪問している間、薬局を訪れる患者様への対応する薬剤師が必要ですし、FAX情報をコンピューターに入力する調剤助手、取り揃えられたお薬を監査する薬剤師、一包化作業を薬剤師の指示のもと行う助手の働きなど、協働の働きがあってこそ成立する働きです。施設対応、透析患者への投薬など、色々な仕事があることが薬剤師としての成長を支えてくれています。私どもと一緒に働きをしたい方がいらっしゃいましたら、薬剤師と言わず歓迎です。ぜひ一度お問い合わせください。
 
 

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