お客様の「本当の必要」に気が付く
目次
富士・富士宮市にて在宅医療に携わっています薬剤師の栗原です。
今日は昨日に引き続き「卓越論と最優先事項の天秤」に関わる課題について書きたいと思います。
と言いましても、今日も「最優先事項」についてまずは説明したいと思います。
1)「最優先事項」
ここで言う「最優先事項」とは、S・コヴィー氏がベストセラー『7つの習慣』で描き出したフレームワークで取り上げている視点です。
(Franklin Plannerhttps://www.franklinplanner.jp/c_fpl/selfstudy/ss-17.html)
具体的にコヴィー氏は、緊急/非緊急と重要/非重要の軸で仕事を捉え、緊急かつ重要な事項(第Ⅰ領域)には多くの人は取り組むけども、最も重要なことは、緊急性を持たないけれども重要性を持つもの(第Ⅱ領域)だとしています。すなわちそれが「最優先事項」なのだというわけです。
この点に関してコヴィー博士は別著『最優先事項』においても改めて記されています。私はむしろ『7つの習慣』よりもこの本の本の方がしっくりくる解説が多く感じます(『7つの習慣』を読んでいるからこそかもしれませんが・・)。
緊急性があり、かつ重要な事項(つまり第Ⅰ領域)が一番大事と考える人もいるでしょう。でも、緊急性がないのに重要である事柄(第Ⅱ領域)というものは、その人の人生(家族、価値観など)であったり、仕事であれば将来的なビジョンなどで、しばしば緊急性がないために後回しにされてしまうものと言えます。それらと向かい合わないことが、後で取り返しのつかない問題を生じさせるような種のものです。
2)緊急かつ重要な事柄(第Ⅰ領域)ー戦術
緊急性があり重要性もある(第Ⅰ領域)ようなことは、当然ながら真っ先に対処しなければならないものでもあると言えるでしょう。戦国時代に準えるなら、緊急性があり重要な事柄は、いわば戦いの最前線。そこでの勝敗によって、その後の展開を色々と変更を加えなければならなくなるような事項です。言ってみれば「戦術」が大事とされるような領域です。
3)最優先事項(第Ⅱ領域)ー戦略
それに対して緊急性がないけども重要な事案(第Ⅱ領域)は、戦いの前線からは離れているけども、後方から戦局を見極めつつ「戦略」を練るような領域です。当然ながらそれは武将・リーダーが担うべき役割です。
「最優先事項」を後回しにすると、武将・リーダーのない戦いを強いられることとなります。目の前の局面に対応しているだけで、目的を見失っているような戦いです。
ですから、緊急性がありかつ重要な事項を適切かつ効率的に処理しつつ、緊急性がないけども重要な事柄に向かい合う時間をいかに設けるか?が大事だ、ということになります。
4)庶務的な事柄の問題(第Ⅲ、Ⅳ領域)
ところが仕事には、重要性はそれほどないけども緊急性はあるような事柄(第Ⅲ領域)というものもあります。たとえばそれは、コピー用紙の発注、新年度の制服の注文など・・。さらには緊急性がないだけに重要性も低下している事柄というものが存在しているでしょう。
これが曲者なのです。放っておくと、いつのまにか取り返しのつかない問題を生じさせてしまう・・。仕事で誰もが経験している事柄ではないでしょうか・・。
また、もしくは重要性はあるが緊急性のない事柄(第Ⅳ領域)なども当然あります。何も考えなくて習慣化していることの中に、これに該当するものもあるでしょう。生活する上ではどうしても避けられないこともありますが、この領域にどれだけ事柄を区分し、そこに時間と労力を投資しないでいけるかを検討することも大事でしょう。そのために人手を借りることも可能でしょう・・。
ややこしいのは、一見無駄そうに見えることの中にも意味があったりすることです。たとえばイチロー選手にとって、打席に入るまでのルーティーンは、一見無駄であるように見えて、そうでなかったりもするでしょう。無駄無駄と切り捨てることも大事ですが、そこに本質的な事柄もある可能性もあるので、このところは、自己チェックが大事ですね。
5)顧客の必要とすり合わせる
少し脱線してしまったようです。改めて仕事に関わる部分に戻っていきましょう。
とても使い勝手の良いコヴィー氏の「緊急/重要」のフレームワークですが、注意点が必要な点もあります。
それは、顧客にとっての重要性や緊急性についての判断をどのように下すか?という点です(つまり、こちら側にも緊急性/重要性の軸があるように、相手の側にも同じものがある・・)。こちらで勝手に評価をして「これは後回しでも良い」とか判断していると、取り返しのつかないことになるのも、誰もが経験している事柄でしょう。
自分だけの都合(評価基準)だけで判断していけばいいのであればいいのですが、相手のある仕事であれば、そうはいきません・・。
ですからこの辺のところは、しっかりと自分の顧客と話を擦り合わせて、重要性と緊急性の正しい判断を下していかければなりません。
仕事回しのできる人とは、この、顧客とのすり合わせ又コミュニケーションが得意な人ということもできるかもしれません。
6)卓越論で考えてみる
先日「卓越論」について書かせていただきましたが、そこで卓越論とは、顧客の「本当の必要」を知るという作業ならびに習慣であるとお伝えしました。実は顧客の「緊急性」と「重要性」を判断するために、この「卓越論」はとても有効なのです。
顧客が、何を必要としているのか、またそのための手段には何があるのか・・。それを明確にしていれば、顧客の「重要度」と「緊急度」を正しく判断することになります。もしもそれが曖昧であれば、緊急に顧客とのすり合わせを行なっていく必要があるわけです。
結論)腰を据えて仕事と取り組む
大事なことは、緊急かつ重要な枠(第Ⅰ領域)に該当する事案を適切かつ迅速に処理していくことその上で、「最優先事項」に該当する、人生の問題、事業計画、戦略に該当するような、じっくり取り組むべきような事項に向かい合うこと・・。
私どもの薬剤師としての仕事も、目の前の患者様への対処を日々繰り返していればいいというものでもありません。戦略に該当するのは、薬剤師としての知識、知見を得るための勉強会に参加すること、教科書を読み直すこと、新しい文献に目を通すこと・・。さらには健康的な生活を送りよい働きをするためにジムに通い、体力を養い、集中力を鍛えることもそれに含まれるでしょう。当然、店舗展開、取引先との関係作りも当然入ってくるでしょう。これらを満たしてこそ、より充実した患者様貢献を行なっていくことができるのです。
これからもしっかり、落ち着いた視点を持って、患者様と向かい合っていきたいと願っています。もし、在宅医療についての最新情報など、必要がありましたら、一度ふじやま薬局、または栗原までお問い合わせください。従業員一同、お待ちしております。