キャリアとは(1)

2026年3月6日、沼津市大岡にある静岡県立工科短期大学校沼津キャンパス様にて講演をさせていただきました。この春に新社会人となる2年生33名の学生さんを対象に、社会に出る前のセミナーとして企画されたもので、私は「心が折れない社会人になるために〜しんどくなる前の心のケアとキャリアの第一歩〜」と題して、メンタルヘルスとキャリアについてお話ししました。
新社会人の時期は、環境が大きく変わり、誰にとってもストレスを感じやすいタイミングです。同時に、キャリアの第一歩を踏み出す大切なタイミング。キャリア、そして人生の節目中の節目といっても過言ではありません。
限られた時間の中でしたが、私から学生の皆さんに「これだけは覚えておいてほしい」と思うポイントを、メンタルヘルスとキャリアそれぞれ一つずつ込めました。
「まいっか」と櫻坂46 勝又春さんの座右の銘
まずメンタルヘルスについてお話ししたのは、「まいっか」と「つまづいた石は踏み台にしてしまおう」という二つの言葉です。どちらも、私たちがストレスを感じたときの受け止め方を少し変えることで、心への負担を軽くし、自分自身を守ることにつながる言葉だと感じています。
「まいっか」は、私が以前うつ病に関する講演会に参加した際に、講師を務められた野村総一郎先生(現 六番町メンタルクリニック名誉院長)が講演の最後に紹介された言葉ですうつ病から自分を守るためには、物事を少し楽観的に捉えることも大切だということを、とても分かりやすく思い出させてくれる言葉だと感じています。
もう一つの「つまづいた石は踏み台にしてしまおう」は、櫻坂46で現役京大生でもある勝又春さんが座右の銘としている言葉です。私は今年の新聞記事で知ったのですが、とても印象に残りました。特に「してしまおう」という表現が大切なポイントだと思います。
失敗は誰にでも起こります。しかし、それを「失敗してしまった」や「この失敗から私は何を学べきなのか」と受け止めるのか、「踏み台にしてしまおう」と、前向きに、しかも楽観的に受け止めるのかによって、その後の心の持ち方は大きく変わってきそうです。これらの言葉が、社会人生活の中でふとしたときに思い出されるものになれば、そんな思いで紹介しました。
「株式会社オレのCEO」〜宮坂学さんの言葉〜
キャリアについては、「みんな株式会社オレのCEO」という言葉を紹介しました。これは、現在東京都副知事を務めている宮坂学さんが、かつてヤフー株式会社(当時)の社長兼CEOだった頃に語られた言葉です。自分のキャリアは、自分という会社を経営するようなもの。つまり、自分のキャリアを決めるのは自分自身だという考え方で、私がキャリアについてお話しする際に、よく引用させていただく言葉です。
とはいえ、新社会人がいきなりCEOのように自分のキャリアを上手に経営できるわけではありません。だからこそ大切なのが「相談すること」であり、キャリアコンサルタントもこの相談を受ける専門家として整備されたものです。キャリアは自分で決めるものですが、決して一人だけで決めるという意味ではありません。周囲の人の意見や支援を受けながら、自分で選び、歩んでいく。周囲の支援をうまく得ながら歩んでいく、その積み重ねがキャリアを形づくっていきます。私自身も、キャリアのスタートはものづくりの現場でした。当時は、自分がキャリアコンサルタントになることや、会社を経営することなど想像もしていませんでした。その過程は、最後は私自身が選んできましたが、周囲の支援があって歩んできたものだと実感しています。
今回お話ししたことが、33名の皆さんのこれからの社会人生活の中で、ふとしたときに思い出されるものになればうれしく思います。そしてこれは、新社会人だけでなく、今まさに働いている私たち自身にとっても大切なことかもしれません。
「まいっか」と肩の力を抜くこと。そして、つまずいた石を踏み台にしながら、周囲の支援も得て自分で選びながら進んでいくこと。そんな姿勢を忘れずに、自分自身のキャリアを歩んでいきたいものです。



