システム導入事例

9月30日、川崎市中原区のすみのえ幼稚園の茶話会で、保護者の皆さんに「家庭の防災」についてお話ししてきました。
益田商工会議所と川崎商工会議所は、2019年に友好商工会議所協定を結んでおり、産業の交流も続いています。遠い街の話に見えますが、中身はどこの家庭にも当てはまるものです。今回はその内容を、山陰にお住まいの方にも置き換えやすい形でご紹介します。
当日のテーマは、防災用品の話ではなく「災害が起きたとき、家族でどう判断し、どう動けるか」。そして子どもが小さいうちに、どんな経験をさせておくかです。
まず、この問いを考えてみてください
今日の夕方、「これまでにない大雨」になったら?
お子さんは園や学校、あなたは自宅か職場にいます。迎えに行きますか?それとも待ちますか?
すぐに答えられなければ、まだ家族で決めていないということです。それに気づくことが最初の一歩です。
1. 自分の「生活圏」のリスクを知る
川崎市では2019年の令和元年東日本台風で、床上浸水791棟、床下浸水388棟、半壊667棟という大きな被害が出ました(川崎市資料)。多摩川の上流で降った大雨によって、下流の街の排水が追いつかなくなった「内水氾濫」も起きています。
水害には入口が2つあります。
- 河川洪水:川があふれ、堤防を越えて街に水が来る
- 内水氾濫:川はあふれていなくても、下水や水路が処理しきれずに浸水する
ハザードマップで確認したいのは、自宅だけではありません。
- 自宅:家にとどまれるか
- 園・学校・職場:家族が離れているときはどうか
- その間の道:迎えに行く道は通れるか
あわせて、色が付いているかどうかだけでなく、浸水の「深さ」(1階まで?2階まで?)、水が引くまでの「時間」、避難先への「経路」(低い道やアンダーパスはないか)も見てください。
<ご自分の地域に置き換えるなら>
国土地理院の「重ねるハザードマップ」(ハザードマップポータルサイト)を使えば、全国どこでも同じ地図で洪水・土砂災害・津波のリスクを重ねて確認できます。より細かい情報は、お住まいの市町村のハザードマップ(ハザードマップ)をご確認ください。
2. もしものときの「家族の動き」を決める
災害時に一番危ないのは、家族がお互いを探して動き回ることです。避難も「避難所へ走る」だけではありません。早めに安全な場所へ移る(立退き避難)、自宅の上の階で待つ(屋内安全確保)といった選択肢があり、家の立地や建物によって正解は変わります。
家庭で決めておきたいのは、次の3つの約束です。
- 園・学校にいるとき:誰がいつ迎えに行くか。迎えに行かないのはどんなときか
- 連絡がつかないとき:集合場所はどこか。遠方の連絡先は誰か
- 家に戻れないとき:どこで待つか。誰を頼るか
前提として、園や学校の「引き渡しルール」と食い違わないようにしてください。家族だけで決めず、まず園のルールを確認するところから始めましょう。決めたことは、子どもにも短い言葉で伝えておきます。
3. 家で暮らし続けるための工夫 ― 最初に備えるのは「トイレ」

災害が起きると、電気・水・通信・物流が止まります。中でも待ったなしなのがトイレです。
水が出ても、下水が無事とは限りません。地震のあとや大雨のときは「流れるか」ではなく「流して安全か」で判断し、迷ったら流さずに携帯トイレを使います。
川崎市は、携帯トイレを「1人1日5回分を最低3日分、できれば7日分以上」備えるよう呼びかけています。
食料と水は「最低3日分、できれば1週間分」が目安です(農林水産省)。水は1人1日3リットル。普段の食品を少し多めに買い、食べたら買い足す「ローリングストック」なら無理なく続けられます。
小さなお子さんがいる家庭では「その子専用」の備えが大切です。食べ慣れた食べ物、ミルク、薬、アレルギー対応の食品、安心できる絵本やタオル、サイズの合った靴などは、支援物資ですぐに手に入るとは限りません。
<ご自分の地域に置き換えるなら>
家庭での備蓄の目安や、普段の食品で無理なく備えるコツは、農林水産省の家庭備蓄ポータルにまとまっています。地域を問わず使える内容なので、まずはここから確認してみてください。
4. 子どもと一緒に体験する
備蓄の量だけでは、いざというときの力にはなりません。必要なのは「不便の中で工夫した経験」です。
- 停電ナイト:30分だけ電気を消して過ごす
- 水なし体験:限られた水でやりくりする
- トイレ実験:携帯トイレを一度使ってみる
- おうち探検:倒れそうなもの・落ちそうなものを子どもが探す
- 避難散歩:避難先まで実際に歩いてみる
散歩のときは、側溝やマンホール、低い道も親子で探してみてください。冠水すると、こうした場所は見えない穴になります。
危ないから全部させない、のではなく、大人が見守る中で危険の扱い方を経験させる。気づく・考える・試す・助け合う。防災は、子どもの「生きる力」を育てる最高の体験学習になります。
今日帰ったら、この3つだけ
- 自宅・園(学校)・職場のハザードマップを見る
- 家族で「迎え・連絡・待つ場所」を決める
- 週末、子どもと防災遊びを1つやってみる
子どもを守る。そして、子どもが自分で自分を守れるようにする。家庭の防災は、その両方を練習できる機会です。
保護者会や地域の集まりでの防災のお話も承っています。お気軽にご相談ください。


