ペットと飼い主に寄り添い、最後まで笑顔で暮らせるようにサポートする獣医師（3/3）

飼い主の手でペットをケアしてほしい

　「治そうとしない」ことを心がけているという山路さん。その理由について話してくれました。「不調を克服するのはペット自身。こちらが『何かをしてあげよう』とすると逆効果になることもあるんですよ。治療を通じてペットが自分でバランスを取り戻せるように働きかけます」

　近年、犬や猫の平均寿命が伸びたため、年老いたペットと暮らす人が増えています。「老化が原因で体調不良になったペットを動物病院で診てもらったが年齢のせいなので仕方ないと言われた」と悩む人も少なくないようです。「当院は、シニアになったペットと飼い主さんが安心して暮らせるように、家庭でできる簡単なケアの方法をご紹介しています。ペットの体調が完全に改善しなくても、飼い主さん自身の手でできることがあればそれが大きな励みになります」

　山路さんの願いは、ペットと飼い主の長い歩みに寄り添うこと。そのため、いつか訪れるペットとの別れの時について飼い主と話し合うこともあると静かに語ります。「ペットのために最善の治療を選択したいと願う方はたくさんおられます。でも、生き物は枯れるように亡くなるのが理想です。食べない、飲まないのは、死に向かっていくための準備をしている段階である可能性もあり、ペットの体に無理のない治療法の選択は誰にとっても悩ましいものです。ペットが安らかな最期を迎え、家族が笑顔でお別れできるように飼い主さんを支えたいです」

　「ペットの介護に悩んでいる」「ペットの健康管理のために何かしてあげたい」という不安や困り事があれば、山路さんに相談してみてはいかがでしょうか。きっと、心に響くアドバイスをしてくれることでしょう。

（取材年月：2019年7月）

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