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こどもの日 子供と食養生

植松光子

植松光子

5月5日はこどもの日。子供の健康を願わない親はいません。しかし思うようにはいかないものです。養生を基本とする中医学ではどのように教えているのでしょうか?


幼児期は6歳までです。子供の特徴はどんどん背が伸び、五臓六腑も完全になっていきます。成長の特徴と臓腑に合わせて食事をとる事が大事です。

●子供の一番弱い臓腑

子供は特に肺が弱いとされています。体の外からウイルスなどが侵入するとき一番最初に肺がやられます。このことはほかの心臓など大事な内臓を守ってくれている、とも考えられます。「肺は大事な人の傘」と中医では言います。肺の位置が傘のような感じで他の大事な臓器を覆っているからです。肺は外の病邪から体を守る第一の関門なのです。

●抵抗力のないからだ

子供はまだ体が完全に出来上がっていないので、防御する働きも十分ではありません。防御とは抵抗力、防衛力のことです。これが弱いので子供は大人より病気になりやすいのです。

●肺を強くする

子供は風邪を引きやすい、汗をかきやすい、喉をすぐに傷める、すぐに熱を出すなどの症状を起こしやすいものです。喉は「肺の扉」とよばれ、外からの病邪は、まず喉に侵入して肺の症状である咳などを引き起こします。子供の肺と防衛力を強めるために次の二つの方法をとります。

1:元気や気を養い、抵抗力を作る食べ物をとる。白きくらげ、山芋、生薬では黄耆
人参などです。ただし熱があるときはほかのものを使います。

2:肺にこもった熱を冷ましてきれいにする
咳、熱、喉が腫れているときは元気をつける食べ物ではなく、熱をとる食べ物と生薬を入れます。
食べ物は梨、杏仁、ビワがよいです。熱があるときはゴボウ、咳、喘息があるときは大根を使います。喘息でハアハアしているときは大根をたくさん食べさせるとよいでしょう。大根は熱を冷まし、痰を取り除く働きがあるので肺気の流れを良くします。大根の種は痰を取り除く生薬です。

●肺の次に弱いのは胃腸

子供はすぐに吐いたり、もどしたり、下痢したり消化器系(脾胃)の症状がでます。

●「脾」と肺は母と子の関係

日本は子供の胃腸を傷つけるアイスクリーム、ケーキ、清涼飲料水、スナック菓子が多いように思います。これらをとりすぎると食欲を落とします。「脾胃」は筋肉を作ります。食欲がないとやせて成長が遅れ、風邪もひきやすくなり、肌も乾燥してかゆみを起こすようなこともあります。

中医学では五臓は皆関係しあっていて、「脾は肺の母」と言います。胃腸を丈夫にすると肺も丈夫になって風邪を引かなくなり、花粉症にもならない丈夫な体になっていきます。肌もしっとりしてかゆみが減ってアトピー体質があってもかゆみは減って行きます。

●脾胃に栄養をつけるもの

病気でなくても、子供は常に胃腸に栄養のあるものを食べさせましょう。
山芋。インゲン豆などの豆類、米類はゆっくりと胃腸に栄養をつけていきます。栄養をつけるだけでなく、消化を助けるものも使いましょう。
サンザシはリンゴの仲間で食欲をださせ、食後の消化を助けます。中国ではよく食後に乾燥サンザシをつまんでいます。胃がすっきりします。生薬として麦芽と一緒に使い、焦三仙(しょうさんせん)といい、大人も食べ過ぎた時飲むと胃が楽になります。

●子供の病気は食養生で

子供は、成長が早く、病気も変化が早く、病気も重くても治りやすいと言えます。薬を使うこともありますが、食養生、食事治療が効果的です。薬は長期には使わないようにしましょう。
アトピーも赤ちゃんは上記の焦三仙やゆり根などで半年もすると肌が丈夫になってきて驚かされます。

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植松光子
専門家

植松光子(薬剤師)

有限会社ウエマツ薬局(漢方薬膳サロン ウエマツ薬局)

症状や悩みに合わせた生薬を煮出す「煎じ薬」を取り扱う漢方専門薬局。「ほっとできるサロン」としてアトピーや不妊のほか心身の悩みに寄り添い、薬膳の知識や適切なスキンケアをアドバイス。

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