その言葉の奥にあるもの ―「投影」を理解すると支援が変わる
障害のある方が共同生活を送る場では、ちょっとした行き違いが思いの他大きな不安や対立につながることがあります。
今回、AさんがBさんのおやつをそっと持っていってしまった出来事も、その一つでした。
見つけたサポーターが叱るのではなく、「食べたかったの?」と優しく確認したことで、Aさんも素直に振り返ることができました。
ただ、ここからが悩ましいところです。
事実をBさんへ伝えて謝罪するのが一般的ですが、Bさんには思い込みを強く抱えてしまう傾向があります。「いいの、いいの」と受け止めてくれる可能性もあれば、「あの人は泥棒だ!」と長く引きずってしまう危険もあります。
同じ屋根の下で暮らす仲間だからこそ、関係がこじれる選択は避けたい・・・これは支援者として大きな葛藤でした。
そこで今回は、あえて「謝らない」という決断をしました。代わりに、AさんがBさんにおやつをプレゼントし、その瞬間に心の中で静かに「ごめんなさい」と伝える方法を提案したのです。
Aさん自身も驚きつつ、納得し、前向きに受け止めてくれました。
この支援は、ただ事実を正すのではなく、お互いがこれからも気持ちよく暮らしていくための“関係の守り方”を選んだ例です。
家庭とホームでの姿が違う人もいます。背景には本人なりの想いや言葉にしづらい気持ちがあるのかもしれません。
大切なのは、すれ違いを「問題」と捉えるだけでなく、心の成長や関係づくりのきっかけと捉える視点です。今回の選択が、二人の暮らしを少しだけ優しくする一歩になることを願っています。



