起業家のための簡単な決算書の読み方(5) -損益計算書-
創業融資において、必要な資金を計算し、融資申込書を書き、面接に臨むという行為は就職活動などで、履歴書を書く行為に似ているように思います。履歴書は面談において、自分の得意分野に引き込むような内容を書いて、できるだけそこに質問が集中するように書くでしょう。
創業融資においても、これは同じことだと思います。なぜその金額のお金が必要なのか、どうやって借りたお金を返すのか、なぜその事業は儲かるのか、金融機関に説明し、納得してもらわなければなりません。融資に限らずとも、戦術において大切なことは、自分の土俵で戦うということです。自分の土俵で戦うためには、相手と自分自身のことをよく知り、市場をよく研究し、最適のタイミングを計ることが必要です。
まず、自分自身については、特に強みを理解します。この強みを活かすためには市場をよく研究し、その市場において、自信の強みが発揮できるよう戦略を考えなければなりません。そして、これを金融機関に説明するためには、なぜあなたの強みが強みと言えるのかを、これまでの実績、これまでの努力により伝えるとともに、なぜあなたの商品やサービスが市場で顧客に受け入れられるのか、競争相手に勝てるのか、自社の優位性を戦略とともに自分の言葉で語れるよう準備する必要があります。前回のコラムで書いた必要資金の計算とともに、ここをしっかりと準備することが重要です。
次に、この場合の相手は金融機関です。金融機関の評価の方法については前々回のコラム「起業家の資金繰り③」でも書きましたが、融資担当者が知りたいのは、借り手の能力、技術力、堅実性など、返済能力と信用できる人物であるかということです。金融機関は貸したお金を返してくれそうな人、会社にはできるだけお金を貸したいと考えています。これは、どの融資担当者に聞いても同じ答えが返ってきます。信用保証協会の保証付きなら、金融機関自身のリスクは非常に低くなりますから、なおさらのことです。しっかりと準備をして、融資担当者をあなたのファンにしてしまいましょう。
最後にタイミングですが、これは2つの条件が整ったときであると、私は思っています。一つめは、必要とする資金に対して、自己資金が十分にたまったときです。これには、起業するために、これまでしっかりと準備をしてきたことと熱意を証明する意味もあります。(具体的な金額についてはコラム「起業家の資金繰り ②」に書いています。)2つめは、自分自身が起業するための準備が十分にできたと自信を持てたときです。私自身は、変化の激しい市場で、勝ち残っていく自信がなければ、起業するべきではないと思います。
起業家の資金繰り ① -創業時の資金調達-
http://mbp-japan.com/osaka/zeirishi/column/16250/
起業家の資金繰り ② -創業融資の内容-
http://mbp-japan.com/osaka/zeirishi/column/16291/
起業家の資金繰り ③ -貸し手からみた創業融資-
http://mbp-japan.com/osaka/zeirishi/column/16409/
起業家の資金繰り ④ -創業融資、必要資金の計算-
http://mbp-japan.com/osaka/zeirishi/column/16514/
起業家の資金繰り ⑤ -創業融資、申込書と面談-
http://mbp-japan.com/osaka/zeirishi/column/16541/
起業家の資金繰り ⑥ -まとめ-
http://mbp-japan.com/osaka/zeirishi/column/16613/