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コラム

起業家のための簡単な決算書の読み方(2) -貸借対照表②-

2012年11月3日 公開 / 2012年11月22日更新

テーマ:起業、開業、会社設立

コラムカテゴリ:ビジネス

今回は、貸借対照表の中の資産の部について、詳しく見ていきます。まず、資産の部は大きく、「流動資産」「固定資産」「繰延資産」の3区分に分かれます。この区分は、少し乱暴な言い方をすると、資産を「お金に換えやすいものか、お金に換えにくいものか、お金に換えられないものか」で大きく区分していると言えます。比較的お金に換えやすいものが「流動資産」、お金に換えにくいものが「固定資産」、そしてお金に換えられないものが「繰延資産」と考えてください。
ここで、注意していただきたいのは、資産は全体でいくら、あとはその中身を詳しく書いているだけだということを忘れないでください。「流動資産」「固定資産」「繰延資産」というのは、資産の中身を詳しく書いているだけなのです。
次に、「流動資産」「固定資産」の中身について、更に詳しく見ていくと同時に、お金に換えやすいかどうかを検証します。

「流動資産」の代表的なものには、現金預金、受取手形、売掛金、商品(棚卸資産)があります。
現金預金は、文字通り現金や当座預金、普通預金などのことで、お金そのものです。次に、売掛金とは、商品を売るなり、サービスを提供するなりした時に発生する、お金をもらう権利のことです。商品が売れたとき、あるいはサービスを提供したときにお金をもらっていなければ、その代価は相手に貸しているのと同じことですから、売掛金とはそのお金を回収する権利であり、通常は1~2ヶ月くらいで回収し、現金化されます。
受取手形は、その売掛金を現金で回収する代わりに、相手方が期日に代金を支払うことを約束したもので、これを期日に銀行に持っていけば、お金を回収できます。
商品は仕入れた商品のうち、まだ売れていないもの、つまり在庫商品のことです。そして、商品はこれを売ることによって、現金あるいは売掛金となります。

「固定資産」の代表的なものは、建物、車両、備品、土地、敷金等です。建物や車両、備品は、通常お金に換えることは想定していません。日々の企業活動の中でこれらを使用していくためのものです。土地も同様に、通常はお金に換えることは想定していませんし、売ることも簡単ではありません。また、敷金は店舗や事務所を借りたときに預けるものですから、解約しない限りはお金には変わりません。

こうして整理してみると、なんとなくお金に換えやすさの程度には差があることが分かるかと思います。本当はこの換えやすさにも基準があるのですが、次回のコラムで説明させていただきます。

「繰延資産」は、入門の段階ではあまり意識する必要もない項目ですが、一応説明しておきます。「繰延資産」の代表的なものとしては、創立費、開業費などがあります。この創立費や開業費は会社を創立するためにかかった費用、事業を開業するためにかかった費用のことです。仮にこの費用を繰延資産として、計上しなければ、全額が初年度の費用として損益計算に含まれなければなりません。しかし、会社の創立や開業のための費用は、初年度だけに経済的効果をもたらすわけではなく、会社が存続している間は毎年経済的効果をもたらす性格のものです。
 このように実際には費用としてすでに支出してしまっており、資産として換金価値はないものでも、その経済的効果が複数年にわたるものについては形式的に資産として計上し、複数年度で費用として取り崩すことが例外的に認められています。

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