快適で長持ちする住宅建設の専門家
田原稔久
Mybestpro Interview
快適で長持ちする住宅建設の専門家
田原稔久
#chapter1
耐用年数が約30年といわれる日本の住宅は、ようやくローンの返済が完了した頃には、次の建て替えを考えなければなりません。これでは、老後や人生にゆとりが持てません。また、建て替えの際に生じる廃棄物も環境汚染に影響を与えます。こうした背景を受け、国は2009年に2世代、3世代と長く住める家づくりをめざして「長期優良住宅促進法」を施行。日本でも住宅に関する考え方が「古くなったら壊して建て替える」フロー型から、「いいものを長持ちさせる」というストック型に変わりつつあります。
同法の施行に先駆けて、「長持ちするいい家づくり」に取り組んできたのが田原建設です。代表取締役の田原稔久さんは、建設会社を経営していた父、益見さんの後を継ぎ、2002年に同社を設立しました。サラリーマンだった20歳代の頃に兵庫県尼崎市のアパートに住んでいた時、阪神・淡路大震災に遭遇し、棟が半壊した体験があり、「命を守るためにも、安心できる家に住まなければ」と痛感しました。
震災後、会社を辞め、仕事を手伝って、家屋の取り壊しやリフォームの現場監督をするうちに、「大半の住宅は水回りが腐っている。これでは耐震性が弱いはずだ」という現状を目の当たりにし、長持ちする住まいづくりへの思いを一層強め、財団法人日本住宅木材技術センターが認定した高品質で耐震性に優れた新世代ハウスを手がけてきました。
#chapter2
長期優良住宅促進法が施行され、講習を受けた田原さんは「新世代ハウスと共通する部分も多く、私のめざしていた方向性と一致し、目標がはっきりした」と、それ以来全棟を長期優良住宅で建てています。
長期優良住宅の認定基準は▽劣化対策。数代にわたり使用できる構造躯体(くたい=構造の強度に関わる基礎、柱、はり、耐力壁など)▽耐震性▽維持管理・更新の容易性▽ライフスタイルの変化に応じて変更が可能な可変性▽省エネルギー性▽バリアフリー性▽維持保全計画の策定▽住戸面積▽居住環境――の9つの観点をクリアしなければなりません。
認定されれば、固定資産税や住宅ローンが減税されるうえ、ローンの金利も引き下げられるなどの特典があります。省エネで光熱費も抑えられます。2、3世代にわたって住め、2世帯住宅にも適しており、長い目で見れば格段と安くなります。転勤したり、介護付きの高齢者住宅に転居したりして、マイホームを貸す場合にも、長期優良住宅は「移住・住みかえ支援適合住宅制度」を活用することができ、資産的な面でも評価されています。
長期優良住宅の認定基準は建築基準法レベルの1.25倍の地震でも倒壊しない耐震等級2ですが、田原建設はそれを上回る耐震等級3(1.5倍)を導入。ゆったりとした居住空間を確保するため、メーターモジュール設計という新しい規格も採り入れています。通常の日本建築では柱の間隔は3尺(0.91m)ですが、メーターモジュールは1メートルで、スペースに広がりができて、バリアフリー性も向上します。
#chapter3
田原さんは「家を建てる時は『命』『健康』『快適性』を追求する」と語ります。でも、快適さは住む人によって多少異なります。そのため、「2世帯住宅も多く、施主様の希望を採り入れるため、10回以上、打ち合わせをし、納得していただけるまで説明をします」と言い、建築関係の情報だけではなく、ファッション雑誌にも目を通すなどして、住む人の好みをつかむ細かな配慮も心がけています。
そうした心配りから、照明にも着目。ライティングコーディネーターの資格を取得しました。部屋のライティングが少し変わるだけでも、住む人の体に影響を与えます。おしゃれ感や快適感も増し、あまりお金をかけずに、満足感がアップします。
快適性を保つには断熱性も重要です。田原さんは気密測定技能者の資格を持ち、効果的な冷暖房の家づくりで力を発揮。工事スタッフも充実しており、「同じ断熱材を使っても、入れ方のうまい、へたで、断熱性は大きく変わります」と断熱性には自信を持っています。田原さんはほかにも、ハウジングライフプランナー、住宅省エネルギー施工技術者、住宅省エネルギー設計技術者を取得。2世帯住宅などを考えた総合的な視点から取り組んでいます。
高齢化社会を迎え、一方では独身率や離婚率の増加など人々の生き方も多様化して、近年、2世帯で住む家族が増えています。田原さんは「長期優良住宅は80年持ちます。新築、リフォーム、アフターメンテナンスの三拍子がそろう田原建設の長期優良住宅は2世帯住宅にもぴったりです」と、時代のニーズを見据えています。
(取材年月:2014年7月)
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Profile
快適で長持ちする住宅建設の専門家
田原稔久プロ
建築家
田原建設株式会社
新築、リフォーム、アフターメンテナンスの三拍子がそろう住まいづくりに徹し、2世帯の長期優良住宅を多く建設。自身が阪神・淡路大震災の体験もあり、耐震等級3の地震に強い住宅を採用する
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