地域別外壁塗装ガイド:気候に合わせた塗料の選び方

林照剛

林照剛

テーマ:外壁塗装の豆知識

外壁塗装はただ色を塗るだけでなく、建物を保護し美観を保持するための重要な作業です。その上で気候条件は外壁塗装の品質と持続性に大きく影響を与えます。適切な塗料の選択と施工タイミングは、地域の気候に密接に依存します。今回は、主な気候条件とそれが外壁塗装に及ぼす影響、気候に合わせた塗料の選び方について解説していきます。


気候タイプ別の特徴と適した塗料


温暖な気候での塗装

温暖な地域での塗装工事には、特に紫外線の強い日差しや高温に耐えることができる塗料の選定が重要です。このような地域では、耐UV塗料や遮熱塗料が推奨されます。耐UV塗料は紫外線による色あせや塗膜の劣化を防ぎ、遮熱塗料は建物の内部温度の上昇を抑える効果があります 。

推奨される塗料の種類

耐UV塗料
長時間の日光曝露にも色あせや劣化が少ないため、外壁の見た目と耐久性を保持します。

遮熱塗料
太陽の熱を反射し、内部の冷却費用を削減するため、エネルギー効率の向上に貢献します。

適した施工時期

温暖な気候では、春(3月から5月)や秋(9月から11月)が塗装工事に最適な時期とされています。これらの季節は気温が過度に高くなく、湿度も比較的低いため、塗料の乾燥に適しています。特に秋は天候が安定しやすく、雨が少ないため、塗装作業に適していると言われています 。




寒冷な気候での塗装

寒冷地域での塗装には、特に気温の低下と湿度に強い塗料が必要です。寒冷地向けに開発された2液タイプの塗料が推奨されます。これらは低温でも硬化しやすい特性を持ち、寒い環境下でも適切に乾燥し、良好な仕上がりを提供します。特に、油性塗料や弱溶剤塗料が寒冷地での使用に適しています。冬季には特に塗装の計画を慎重に行う必要があります。

推奨される塗料の種類

2液タイプ塗料
これらの塗料は化学硬化型で、低温でも硬化する能力があります。寒冷地での塗装に最適です。

油性塗料
低温下でも乾燥しやすく、耐久性が高いため、寒冷地での使用に適しています。

適した施工時期

寒冷地域では、塗装工事の最適な時期は気温が5度以上の日に限られます。一般的に、春の終わりから初夏(5月から6月)、または初秋(9月から10月)が推奨されます。これらの時期は日中の気温が比較的高く、夜露や凍結のリスクが低いため、塗料の適切な乾燥が期待できます。




湿潤な気候での塗装

湿潤な気候の地域では、高い湿度と頻繁な雨が塗装の品質に大きな影響を与えるため、特定の種類の塗料と施工時期の選択が重要です。
防カビ性能を持つ塗料が推奨されます。湿度が75%以下の日に塗装作業を行うと良いでしょう。湿度が塗料の乾燥に与える影響を理解し、適切な時期を選んでください。

推奨される塗料の種類

防カビ・防藻性塗料
湿潤な気候ではカビや藻が発生しやすいため、これらを抑制する特性を持つ塗料が必要です。

高透湿性塗料
塗膜が呼吸することで壁内の湿気が外に逃げやすくなるため、壁内の湿気が原因で塗膜が剥がれるのを防ぎます。

適した施工時期

湿潤な地域では、相対的に乾燥している時期を選ぶことが重要です。具体的には、春の終わりから初夏(5月から6月)と秋の始め(9月から10月)が最も適しています。これらの期間は比較的湿度が低く、降水量も少ないため、塗料の乾燥に適した条件となります。塗装前には必ず気温と湿度をチェックし、適切な条件出あることを確認することで塗装の品質と持続性を高めることができます。




海沿いの気候での塗装

海沿いの地域では高い湿度と頻繁な雨、塩分を含んだ強風が塗膜を侵食しやすいため、塩害防止用の特殊塗料を使用することが必要です。これにより、塗装面の腐食や色あせを防ぎ、長期的な保護を提供します。また、定期的なメンテナンスを行うことで、塗装の持続性を高めることができます。

推奨される塗料の種類

耐塩塗料
塩分による腐食を防ぐため、特に耐塩性能が高い塗料が推奨されます。これにより、塩害から建物を保護し、塗膜の持続性を高めることができます。

防カビ・防藻塗料
湿度が高い環境ではカビや藻が発生しやすいため、これらを抑制する特性を持つ塗料が有効です。

高耐久塗料
UV保護機能を備えた高耐久塗料を使用することで、日光による劣化を遅らせることができます。

適した施工時期

塗装作業は主に乾季に行うのが理想的です。湿度が比較的低く、風通しの良い時期を選ぶことが望ましいです。具体的には、春の終わりから初夏にかけて、または秋の気候が安定している時期が最適です 。作業を始める前に短期および長期の天気予報を確認し、雨が少ない期間を選定します。海沿いの地域で塗装工事を行う際は、これらの点を十分に考慮し、専門家と相談しながら計画を立てることが重要です。




まとめ

適切な塗料と施工時期の選択により、それぞれの気候条件に最適化された外壁塗装が可能になり、建物の寿命を延ばすとともに、長期にわたる美観の保持が実現します。すべての地域で共通して重要なのは、現地の気候を正確に把握し、それに最適な塗料と施工計画を選定することです。これにより、塗装投資の効果を最大限に高めることができます。

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林照剛
専門家

林照剛(1級建築施工管理技士)

株式会社ラディエント

遮熱・断熱塗装のほか、ひび割れなどに強い特殊塗装によるリフォームで省エネ(節電)を実現し、快適空間を創造します。特殊塗装に慣れた職人の丁寧な作業は、お客様から高い評価を得ています

林照剛プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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