モルタル壁のひび割れ補修方法

林照剛

林照剛

テーマ:外壁塗装の豆知識

外壁材の種類の中にモルタルがあります。モルタル壁は、従来から使われている主セメントを材料としている建材です。近年ではサイディング壁を採用する住宅が増えていますが、今でもモルタル壁のメリットをいかした住宅は建築されています。モルタルの壁は他の建材と比べてひび割れが発生しやすいです。今回はこのひび割れの原因や補修方法をお伝えします。

モルタル壁とは

モルタル壁は、セメントや砂、水などを混ぜて作られる建築材料で、一般的にコンクリートブロックやレンガなどの基礎材料にたいして使用されます。モルタルは、壁の表面を平滑にするために使用されることが多いです。

モルタル壁のメリット

耐久性
モルタルは非常に耐久性があり、長期間にわたって壁の強度を保ちます。
防水性
モルタルは水にたいして非常に強い防水性をもっています。これにより、外部からの水の浸入を伏せ美、建物内部を保護します。
火災耐性
モルタルは高温に耐える能力があり、火災時に建物を保護する役割を果たします。
施工性
モルタルは比較的容易に施工することができます。また、形状やデザインに合わせて調整すること可能です。

モルタル壁のデメリット

重さ
モルタルは比較的重いため、建物の構造や基礎の強度を考慮する必要があります。
ひび割れのリスク
気温の変化や地震などの外部要因により、モルタルの壁にひび割れが生じる可能性が高い。
メンテンナンスの必要性
モルタルの壁は定期的なメンテナンスが必要です。ひび割れや劣化が発生した場合は、補修が必要となります。

ひび割れの補修を怠ると

モルタル壁のひび割れの原因は地震の他に、塗膜の経年劣化により撥水機能が低下し、モルタルが水分を含むようになり膨張しだします。さらに乾燥し収縮を繰り返すことでモルタルにひび割れが発生します。一度ひび割れた部分は経年とともにさらに進行し、雨水の浸入経路となります。雨漏りの原因になりますし、壁内の建材の腐食につながります。外壁の外側の落下や、壁内の腐食により修繕費用が高くなってしまう他、建物自体の健康寿命も大幅に短縮してしまいます。

ひび割れた場合の補修方法

塗り込み

壁にセメントを塗り込んでひび割れを埋める方法です。ひび割れ補修のセメントやスプレーなどもありますが、重要なのは速乾性があることです。この方法は主にヘアクラックに使われますが、外壁表面をカバーするだけになるので根本的解決には向きません。また、ヘアクラックのように細いひび割れのわずかな隙間にしっかり浸透させるのは非常に難しいです。そのため一時的な補修であり強度を回復するものではないといえるでしょう。

Vカット工法

ひび割れた部分をサンダーでVカットしていく工法です。ひび割れ側面の表面部分は脆いため、この部分をサンダーで削り落とし平らにします。そのカットした部分に補修材を詰め込み、ひび割れの進行を止めるのが目的です。
補修材としてセメント系もありますが、付着力では劣るため、硬化したときの強度が高く、接着能力も高いエポキシ樹脂を使用することがほとんどです。

ピンニング工法

モルタル外壁の表面が浮き上がっているとき使われる工法です。表面部分から削孔して、ステンレスピンを打ち込みます。そこにエポキシ樹脂を注入することで、表面を剥がれないように一体化します。
ステンレスピンを使うため、さびで膨張することもありません。エポキシ樹脂は接着剤になるため、硬化すると一体化できることから、補修に使われます。

打替え

ひび割れの劣化が進行し、モルタル壁自体が外壁として性能を発揮していない状態になると、いったん撤去し作り変える必要が出てきます。完全に撤去して塗り替える方法や、一部分を打替える方法もあり、状況によって判断しなければいけません。


モルタル外壁がひび割れしている場合は、できるだけ早く補修を行い建物を保護することを強く勧めます。ひび割れが発生していない場合でもモルタルを保護している塗膜が劣化すれば、いずれひび割れが発生するので定期的に塗装を行い健康な壁を維持できるようにしましょう。

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Mybestpro Members

林照剛
専門家

林照剛(1級建築施工管理技士)

株式会社ラディエント

遮熱・断熱塗装のほか、ひび割れなどに強い特殊塗装によるリフォームで省エネ(節電)を実現し、快適空間を創造します。特殊塗装に慣れた職人の丁寧な作業は、お客様から高い評価を得ています

林照剛プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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