【小論文過去問から読み解こう】小論文過去問を活用方法とは…?
オフィスカタリストの角野裕美(カドノヒロミ)です( ..)φ
私自身の文章鍛錬、もっというと「詩」「短歌」「エッセイ」…とジャンルを問わず、感性を磨くために通っている“大阪文学学校”への提出エッセイをアップしてみます。
久しぶりで、お恥ずかしいのですが、ご一読いただければ有難いです<m(__)m>
「家族の耳」
今年の夏は、殊の外暑かった。酷暑だの、記録的気温だのと連日、報道されていた。しかしながら、さすがに十月も半ばを過ぎ、日中はともかく、朝夕の気温が例年並みに下がってきた。このことは、天気予報でもわかるのだが、私にはとっておきの「気温低下察知バロメーター」がある。それは、帰宅する家族の「耳」に触れることだ。
暑い季節には、耳もお疲れ気味で、身体と同じ体温を持ち、どちらかというと柔らかなのだ。しかし、少しでも気温が下がってくると、むき出しのままの耳は、外気に晒され、冷やされ、そのものの熱をなくす。冷たい耳が、まさに「あぁ、気温が下がってきたよぉ。」と、私に教えてくれるのだ。
では、耳をどのように扱うのか?答えは簡単、ズバリ、耳を手で触り、自らの顔をくっつけんばかりに近づけるだけだ。ヒンヤリとした耳にタッチするためには、もちろん、帰宅後直ぐに、“味わう”ことが大切。そのためにも、季節が進み、気温がどんどん下がるにつれて、夫や娘が帰るであろう時間帯は、ソワソワドキドキ…待ち焦がれることとなる。
冷えた耳の上部からゆっくりと、耳朶まで触る。明らかに冷たさが、指を通して感じられる。耳朶は夏場よりも少し引き締まり、冷気を中に閉じ込めているかのようだ。「今日は、急に冷え込んだからねぇ。」と嬉しげな私に、「……もういいかな?」と夫も娘も、呆れた様子で促して、終了となる。
特に、冬本番となってくると、冷気も伴って、家族は帰ってくる。そんなとき、顔を近づけると、そのものが香りとなって立ち上がってくる。「寒かったねぇ。」と顔までも両手で包み込み、温めたくなる程だ。冬の香りとも言うべきものは、とんがった、鼻腔に突き刺さってくるかのようなもの。耳を触りつつ、匂いも味わいつつ、冬のお出迎えは、より忙しくなる。
触覚・嗅覚に次いで、視覚的にも好きな形だ。貝殻にも似た耳を、じっくり眺めていたい程だ。だから、自分自身の耳では、触れることはできるが、匂いを嗅いだり、見つめることが出来ず、いきおい家族の耳に甘えてしまうという次第。
耳にはツボがたくさんあって、耳に触れ、マッサージすることは身体にいいと聞いたことがある。それはそれは、よござんした。バロメーターのみならず、健康にも貢献できるじゃないか。夫や娘が呆れ気味なのをもろともせず、来る冬に向けて、より一層の「耳フェチ」に、私はなろうと決めている。
夕刻に帰りし娘の耳朶に唇寄せて冬の香を嗅ぐ
貝がらの形にも似てどうしても目が離せないあなたの耳殻
エッセイの最後には、内容にちなんだ「短歌」も載せてみました。大好きな歌人でありエッセイストの穂村弘さんの流儀を真似させていただいた次第です…(*^_^*)
より自己研鑽にも励んでまいります…!!!
心を込めて…( ..)φ__hiromi KADONO
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