南海トラフ臨時地震情報が発表されました。BCP(事業継続計画)の策定、見直しが求められます。
1981年(昭和56年)以降、がんは死因の第一位となり、現在は3人に1人ががんで亡くなっています。働き盛りの30代、40代では男性よりも女性の方ががんを発症する率が高いため、特に女性においては働きながらがんの治療をしていると方も少なからずおられるかと思います。
また65歳未満で発症する若年性認知症の罹患者も増加しているとの統計もあります。これらの状況を踏まえ、厚生労働省は企業に対し治療と仕事の両立支援の推進を推奨しております。治療と仕事の両立に向け、具体的にどのような施策が必要なのか、以下で説明します。
1. 柔軟な勤務体系の導入
フレックスタイム制度やリモートワークの導入
フレックスタイム制度
社員が始業・終業時間を選べるようにすることで、通院や治療のスケジュールに合わせやすくなります。導入にあたっては、コアタイム(全員が勤務しなければならない時間帯)を設け、それ以外の時間帯は自由に調整できるようにします。
リモートワーク
病院への通院や体調不良時にも自宅から業務を継続できるように、リモートワークの制度を整備します。リモートワーク用の設備(ノートパソコン、通信機器)を支給し、働きやすい環境を提供します。
短時間勤務
1日の勤務時間を減らしたり、週の労働日数を減らしたりすることで、社員の負担を軽減します。
2. 病気休暇・有給休暇の拡大
長期的な治療を支えるための休暇制度の整備
有給病気休暇の付与
法定の病気休暇に加え、会社独自の有給病気休暇制度を導入します。これにより、経済的な不安を軽減しつつ、治療に専念できるようにします。
追加の休暇制度
長期治療を必要とする社員のために、病気休暇の延長や特別休暇を設けることで、治療期間中も安心して休める環境を提供します。
申請手続きの簡素化
病気休暇の申請手続きを簡素化し、迅速に休暇を取得できるようにします。例えば、医師の診断書提出をオンラインで完結できるようにします。
3. 職場環境の整備とサポート
治療中の社員が快適に働ける環境の整備
バリアフリー対策
車椅子や歩行補助具が必要な社員のために、オフィスのバリアフリー化を進めます。エレベーターやトイレの改修、段差の解消などが含まれます。
治療に必要な設備の設置
オフィス内に休憩室やリラクゼーションルームを設置し、体調が悪いときに休めるスペースを提供します。必要に応じて、治療機器(例えば、点滴台や血糖値測定器など)を用意します。
医療機関との連携
近隣の医療機関と連携し、社員が迅速に診察や治療を受けられるようにします。また、医療専門家による定期的な相談会を実施します。
メンタルヘルスケア
社内に専門のカウンセラーを配置し、定期的なカウンセリングセッションを提供します。社員がストレスや不安を感じたときに、いつでも相談できるホットラインを設置します。
4. 同僚や上司への教育と意識向上
病気に対する理解を深め、協力的な職場文化を醸成する
がんや認知症に関する研修
定期的に専門家を招いて、がんや認知症についての知識を深める研修を実施します。病気の症状や治療方法、社員がどのようなサポートを必要としているかを理解する機会を提供します。
対応方法や支援の教育
病気を抱える社員への適切な対応方法や、どのように支援すべきかを具体的に教えるトレーニングを行います。例えば、コミュニケーションの取り方や業務の分担方法について学びます
差別や偏見の防止
病気に対する差別や偏見を防ぐためのポリシーを明文化し、全社員に周知徹底します。ハラスメント防止のための研修を定期的に実施し、適切な行動規範を共有します。
5. 社員とのコミュニケーションの強化
定期的な面談やを通じた双方向のコミュニケーション
定期的な面談
上司と社員の間で定期的に面談を行い、治療の進行状況や体調について話し合います。これにより、社員の状況に応じた柔軟な対応が可能になります。面談では、仕事の負担やストレスについても確認し、必要なサポートを提供します。
フィードバックの提供
定期的なフィードバックを通じて、社員の業務パフォーマンスや体調についての情報を共有し、必要な改善策を講じます。フィードバックは、業務内容だけでなく、働きやすさやメンタルヘルスにも焦点を当てます。
要望や不安の聞き取り
社員の要望や不安を積極的に聞き取り、それに応じた対策を迅速に実行します。例えば、勤務時間のさらなる調整や追加のサポートを検討します。社員が匿名で意見を述べられる仕組み(例えば、意見箱やオンラインフォーム)を設け、安心して声を上げられる環境を整えます。
これらの対策を講じることで、治療を受けながらでも安心して働き続けられる職場環境を構築することができます。ある程度の費用が必要となる施策もあるため、実施が難しいものもありますが、治療と仕事の両立支援に向けて、取り組み可能なものから進めてみてはいかがでしょうか。