掛軸を売るときは〇〇をしてはダメ!?骨董屋の嫁が教える、上手な売り方
お買取りのお問い合わせをお受けしていると、時折お客様から「掛軸の鑑定をしてほしいんですが」とご希望をいただくことがあります。
しかしながら株式会社縁では鑑定はいたしておりません。
えっ?買取しますって広告しているのに、鑑定してくれないの?って思いますよね。
はい、我が社では鑑定をすることはできないのです。私たちが行っているのは、あくまで「査定」です。
なんとなく似たような響きのこの2つのコトバ。
具体的に何が違うんでしょうか。
さ-てい【査定】
(金額・等級などを)とりしらべて決定すること。「税額の―」「土地を―する」
かん-てい【鑑定】
①物の真偽・良否などを見定めること。めきき。「筆跡―」「審議を―する」
②〔法〕学識経験を有する第三者が、裁判官の判断能力を補助するため、専門的見地からの判断を報告すること。
岩波書店 広辞苑 第五版より
まさにこの言葉通りなのですが、話し言葉の中でそんなこと深く考えながらなんて使いませんよね。
しかし、私たちにとっては大きな違いがあります。
こんな掛軸を例にして見てみましょう。
掛軸<大田垣蓮月>千鳥画賛(商品ページ)
この掛軸に対して、鑑定というのは「署名通り大田垣蓮月が描いたものに間違いないことを断定しその証明書を発行します。」ということです。そして鑑定を依頼した人物は、鑑定料や証明書発行料などを支払うことになります。
対して査定は、「大田垣蓮月と署名があるこの掛軸を〇〇万円で買取ります。」となり、査定した側が依頼人へ金額を支払うことになります。
査定評価の段階で我が社のバイヤーは大田垣蓮月の本物か?どこかの画家が描いた模写か?を含めて吟味しますので、お客様にご説明する際はバイヤーの意見としてこれが本物だと思うか否か・出来の良し悪しなどを解説いたします。しかしそこに科学的根拠などの証明になりうるものは存在しません。
掛軸などの日本画に対して発行されている鑑定書のほとんどは、明治大正生まれ~昭和に没した画家のもの。その画家本人の血族や弟子たちが判定をすることができるからです。
対して私たちが得意としている江戸時代の絵画はどうなのかというと、その血筋や弟子は途絶えてしまっていて、誰も証明することができないのです。
もちろん、骨董屋さんが独自に鑑定書と称した書面を発行することもあります。
私たちが日々いろいろな骨董品を査定しているように、買取を依頼するときにはいろんな業者さんを見比べてお客様目線で「査定」をしてくださいね。