【日産ショック＃2】我々庶民の生活にどう関わってくるのか？

車を売りたい人の為の話#11

サプライチェーンは崩壊寸前なのか？

先日のコラムにも書きましたが、改めてサプライチェーンのおさらいをします。
1台の車を作る為に必要な製品または部品を、自動車メーカーに供給（Supply）する事を生業とする会社を総称して「サプライチェーン（以下、下請け企業）」と呼び、帝国データバンクの調べによると、2024年12月時点でその総数は68,485社（日本国内）との事です。
今後日産に求められるのは「商品（車種・製品・部品など）の見極め」で、平たく言えば「儲かる商品（車種・製品・部品など）だけを生産・販売する」という、ドライだけど合理的な姿勢。
一旦プライドは捨てて、事業規模を縮小しながら儲かる商品（車種・製品・部品など）だけを生産・販売する事に注力し、そうじゃないものからは一刻も早く手を引く。
その為に国内外工場の統廃合と、これに伴い2万人規模の人員削減（リストラ）を実行する。
そして言い方は悪いけど、切り捨てられる下請け企業も当然出てくるじゃないですか？
下請け企業が「日産さん！話が違いますよ！」と言いたい気持ちは十分理解出来るし本当にそう思う、だけど日産だって他社（者）の為に身を削っている場合じゃないのです。

地方経済はどうなる？

日産のみならず、下請け企業でも大幅な人員削減（リストラ）が実行されると予想されます。
下請け企業の多くは地方を拠点とし、地方で働く多くの労働者が失職する事になれば、地方の衣食住に関連する全ての会社（お店）が打撃を受ける事になります。
余談ですが、福岡県の苅田町という人口約37,000人の町に、日産の国内最大規模の工場がふたつあって、合わせて約5,500人の労働者がいるみたいなんですね。
この全員が苅田町民じゃないにしても、工場の雇用形態的に考えると一般職員の大半は工場付近の社宅（寮）に住むはずだから、ざっくりと約4,000人くらいは苅田町民だと思うんですよ。
苅田町内に住む多くの労働者が、労働の対価で得たお金のほとんどを、苅田町内で消費する。
コンビニ、ガソリンスタンド、居酒屋など、苅田町内の至るところにお金が落ちる。
ちなみにGoogleマップで「苅田町　スナック」を検索したところ、約15件がヒットしたのですが、スナックなんてリアルに死活問題だと思いますよ。
このように、多くの下請け企業が拠点を置く地方は、その土地で働く人々の消費によって生かされている会社（お店）がたくさんあるのです。

失業者の増加と治安の悪化は必至か？

日産単体で約2万人の人員削減（リストラ）、更に下請け企業でも同様の事が起これば、日本国内だけでもとてつもない数の失業者が生まれます。
崖っぷちに追い込まれると、良くも悪くも、人は覚醒する。
職を失い、金銭的に追い込まれた人は、果たしてどうなるのでしょうか？
窃盗や強盗、昨今深刻化している特殊詐欺関連の仕事に手を染める人が、今後増えてしまう可能性を否定する事は出来ません。
これこそまさに、我々一般庶民の生活に関わりますよね。
お金が全てとは言わないけど、少なからず金銭的な豊かさは心の豊かさにも繋がるから、これはその逆も然りだと思います。

基幹産業としての自動車製造業

一般社団法人日本自動車工業会が発表したデータによると、自動車関連就業人口は約558万人で、全就業人口の8.3％にあたります。
年間100兆円以上を動かす自動車産業は、日本経済の心臓そのもの。
自動車産業の死は日本という国の死を意味すると言っても過言ではありません。
2018年には年間販売台数世界2位にもなった日産（厳密に言えばルノー・三菱との3社連合）。
結局この「販売台数至上主義」のようなものが痛手となり今回の経営危機に繋がっているわけですが、そもそも販売台数で世界2位になれるだけの生産・販売能力と「日産（NISSAN）」というメジャーなブランド力に疑いの余地はありません。
この難局を乗り切って、見事に復活を果たしてほしいものですね！

〆の＃3は次回に持ち越し！

とは言え、この難局を自力で乗り切るのは正直厳しいだろうというのが本音。
日産のイヴァン・エスピノーサCEOは「手元に2兆2,000億円の現預金（キャッシュ）があり、第三社からの資金援助は必要無い」と言っていますが、全てが計画通りに行くとは限りません。
まず今後確実に起こる現象として、人員削減（リストラ）と工場の統廃合により、車を作る（または車を直す）為に必要な部品の生産・販売が滞ります。
生産・販売が滞ると、必然的に供給（販売）する事が出来ません。
それが「これから起こり得る最悪のシナリオ」に繋がる事になるのですが、本当は今回のコラムでここまで書こうと思っていたんだけど、いい加減疲れたので次回に持ち越し（笑）