子の引渡し・連れ去り事件④ 弁護士への相談(その1)
養育費③ 養育費新算定表のポイント
12月23日に養育費算定表の見直しが行われました。
家庭裁判所の実務で用いられている養育費や婚姻費用の算定基準を社会情勢の変動を踏まえて用いる統計資料の基礎数値の見直しを行ったものです。
では、今回の改定で、どこが変わったのでしょうか。
まず、基本的な適正額の算出方法は、以下のような内容であり、この手法自体に変更はありません。
1 双方の収入(総支給額)から必要費(公租公課、職業費、住居関連費などの特別費)を差し引いて、養育費・婚姻費用にあてる基礎収入(総支給額×A%)を算出する。
2 互いの世帯構成から、支出の配分比率B(生活費指数)を算出する。
3 双方世帯の必要支出額を対比し、毎月の生活費の過不足を分担額Cとして算定する。
この算定プロセスのうち、今回の大きな変更点は、1と2の部分です。Aが増え、Bのうち子の指数が増えたことにより、全体的に算定額が微増につながっています。
具体的には、以下のとおりです。
1 基礎収入(総支給額×A%)算定にあたり、控除すべき必要費(公租公課、職業費、住居関連費などの特別費)の統計資料を旧算定表(2003年)当時のものから最近の統計資料に差し替えたことにより、基礎収入部分の比率が少し増えることになりました。
旧算定表では、給与所得者の基礎収入は総支給額の34%~42%でしたが、38~54%とされています(ただ、審判などで細かな数字まで算出する際の、基礎収入比率については今後報告書の詳細版を確認する必要があります)。
2 生活費指数については、子にかかる指数(大人を100とした場合に、子にかかる生活費出費の割合)を0~14歳、15~19歳で区分している点は以前と同様ですが、旧算定表で大人100、子0~14歳が55、15~19歳が90、だったところを、大人100に対し、子0~14歳が62、15~19歳が85、としています。
旧算定表より子どもの生活費指数が上がったことで、全体的に月1~2万円程度の増額になるケースが多くなっています。
なお、今回の見直しは、現在調停・審判中の事件に関しては適用されますが、すでに協議、調停や審判で決められている場合は、今回の改定そのものを理由とした増額請求においては事情変更の理由としては考えないとの方針が示されています。