子の引渡し・連れ去り事件② 直後の探索と自力救済の禁止
養育費② 養育費算定の新算定基準の公表
昨日のニュースで、家庭裁判所で離婚訴訟などで広く使われている養育費の算定表の改定が報じられています。
すでに最高裁判所のホームページでも「公表資料」としてアップされています。
「最高裁判所 公表資料 養育費」で検索すると、「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」と題した記事があり、そこに簡単な報告書の概要版と新しい早見表(養育費・婚姻費用)が公開されています。
今回の報告は、家庭裁判所において養育費又は婚姻費用の算定をする際に活用されてきた「算定表」(標準的な養育費・婚姻費用の額を簡易迅速に算定するための標準算定方式・算定表)の考え方を踏まえ、基礎となる統計資料を更新して、令和元年版の新算定表を提案するものです。
この研究報告は、家庭裁判所実務ですぐに用いられることを前提としたものと言えます。内容は従前の算定表を大きく変えるものではなく、旧算定表から15年以上経過した社会の変動を前提に、考え方の枠組みを変えることなく、計算基礎となる統計資料の数値の修正を行ったものです。
従来の算定表が便利だったのは、当事者双方の収入と、世帯構成(子の年齢・人数)からグラフを読み取ることで適正額のおよその目安をつけやすかった点にあります。今回もそれは変わっておらず、グラフ(早見表)の読み取り方は、「養育費・婚姻費用算定表について」のページで解説されています。
協議中、あるいは調停事件が係属中の方は、まず新しい算定表で、ご自身の適正額がどれくらいか数値を確認するところから始めるとよいでしょう。
一方、適正額がいくらなのか、厳しく対立していて調停では話し合いができず、審判になっている(あるいはなりそうな)場合の細かな計算については、現時点で公表されている概要版からだけでは判然としません。収入の階層別に用いられる係数がまだ公表されていないからです。
今後、報告書の詳細版に接することができれば、審判で想定される計算式もわかる見込みです。
次回、今回の見直しの改定点を見ていきます。