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法律相談ちょっとした工夫~現在・過去・未来

川﨑政宏

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テーマ:法律相談

法律相談ちょっとした工夫~現在・過去・未来

法律相談は、限られた時間の中で、困りごとを抱えた相談者が求めている情報をきちんと提供できるか、いつも悩みつつ試行錯誤を重ねています。

前職当時の相談業務と共通する部分、相違する部分ともにありますが、普段の相談の中で工夫していることを思いついたところから整理してみたいと思います。

20年以上前になってしまいましたが、保護観察官当時、少年院に収容されている少年や刑務所に服役している受刑者の仮釈放のための準備調査面接を行っていたことがあります。一人あたり40分から60分、毎週施設への出張で月間30~40人を面接していました。

教育課程の最終段階に到達まじかで、出院(仮退院)に向けての調整と調査のための面接です(受刑者は仮出獄審査に向けての準備です)。

面接調査の主な内容は非行(犯罪)事実、施設内での行状、出所後の受入見通しです。これを聞き取って出張から帰って調査票一枚にまとめます。

緊張した面持ちの少年や受刑者に名前から確認して、さてどんな順番で話を聴いていけばよいのか自分で考えるしかありませんでした。

いきなり非行事実から聞き始めると緊張して、過去を非難されるように感じて、構えてしまうことに気がつきました。

初めは話しやすいこと、今の生活から聞くと具体的に答えてくれ、少し気持ちがほぐれます。かなりの期間の収容生活を経験する中で、自分の言葉で反省を語り始めることが多かったようです。

そこから過去の非行歴をさかのぼって聴くと、反省の気持ちを受け止めたうえでの過去の事実なので、率直に振り返りをしてくれます。

それらを整理して、最後に外に出た後の将来の生活への準備を確認します。困難は予想されますが、今の内省をもとに過去を振り返り、先を見ていこうという気持ちを支持して面接を終えていました。

現在・過去・未来の順に面接を組み立てていくことは、法律相談でも心掛けています。

相談に来られた理由、今の気持ちをまず受け止めて、何に困っているか、どんなトラブルがあったのか整理し、それをどう解決したいのか、そのためには何をすればよいか、という流れで40分を組み立てていくことができたらよいなと考えています。

トラブルが生じた原因が相談者にあったとしてもそれを非難すると話は止まってしまいます。自分が悪いことは承知で、どうしてよいかわからず相談に来られています。言葉遣いや表現には慎重な配慮が必要です。大昔、司法修習生のころ、同席した相談場面で、相談者が怒って席を立って帰ってしまったことがありました。動かしがたい過去の書面があるために、法的な打開策が見いだせない状況で何か方法はないかという場面でしたが、「そんな書面に署名しなければよかったんですよ」と伝えたため、自分でも嫌というほどわかっている点を責められたと感じて、やりきれない気持ちになられたようでした。

法的な打開策がないのに安易な言葉かけはできませんし、方策がない場合はそのことをきちんと伝える必要はあります。ただ、将来に向けての話になるよう、伝え方には工夫が必要だと感じています。


※ 本コラムは法律コラムの性質上、弁護士の守秘義務を前提に、事例はすべて想定事例にしており、特定の個人や事件に関する記述はありません。

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川﨑政宏
専門家

川﨑政宏(弁護士)

ももたろう第2法律事務所

ケースワーカーとしての長年の経験を生かし、相続や離婚など家庭内のトラブル解決に多く関わっています。特に、子どもの親権や面会交流、連れ去り・引き離しなど緊急案件への迅速解決には実績があります。

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