子の引渡し・連れ去り事件⑥ 相談対応の留意点(その1)
子の引渡し・連れ去り事件⑤ 弁護士への相談(その2)
離婚や別居に際して、親権や監護権が争われる場合、突発的に子どもの連れ去り(引き離し)が起きることがあり、直後の混乱期の初期対応いかんによっては紛争が長期化、複雑化することもあります。
弁護士が相談・依頼を受けた後の対応の流れは次のようになります。
[ 相談者 → 弁護士 ]
(事件当日) 警察への相談、安否確認、相談先の情報収集
(数日後) 弁護士相談、依頼
[ 弁護士・相談者 → 家庭裁判所 ]
(数日内) 相手方への引渡し要請、事件前後の状況聴取、資料収集、
家庭裁判所への審判申立書作成打合せ
(事件後1週間) 家庭裁判所に監護者指定・子の引渡し審判、審判前の保全処分申立て
[ 家庭裁判所 → 弁護士・相談者・相手方 ]
(数日内) 家庭裁判所から保全事件の審問期日指定(申立後1~2週間後あたり)、相手方に申立書送付。審問期日通知、呼出し。補充資料の提出。
(事件後3週間) 家庭裁判所において保全事件審問期日。裁判官が双方から事情を確認。保全の必要性を判断しつつ、場合によっては任意の引渡しを促す。
[ 相談者・弁護士・執行官 → 相手方 ]
(事件後4~5週間) 家庭裁判所で保全事件審判(仮の監護者指定・仮の引渡し決定)。決定を踏まえて任意の引渡しを求める一方、すみやかに保全執行申立て、執行官と打合せ。
(事件後5~6週間) 保全執行(執行官と相手方宅を訪ね、引渡しを受ける)
以上が典型事例での流れですが、事件発生後かなり時間が経過している場合でも、子どもの監護環境の悪化など安全確保の観点から引渡しを求めて認められる事案もあります。
さらに個別に留意点をみていきます。
※1 本コラムは法律コラムの性質上、弁護士の守秘義務を前提に、事例はすべて想定事例にしており、特定の個人や事件に関する記述はありません。
※2 当事務所では、子どもの利益(安全・安心)を最優先に考えるため、ご夫婦のどちらからの相談も受けています。特に子の連れ去り・引き離し事件に関しては、お子さんと離れてしまった側、お子さんと一緒にいる側、いずれの相談もお受けしていますが、子どもの利益を最優先に考えています。