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【盲点】終活に一番心掛けてほしいこと【経験談】

若松慶隆

若松慶隆

謹賀新年 本年も当コラムをよろしくお願い申し上げます。

・棺に入れてほしいと準備してあった品
・お気に入りの写真(遺影にするつもりだったもの)
・葬儀社の会員証(式をした社とは別の)
・納骨堂の契約書
・生前戒名授与証
これらはご本人の死後、遺品整理をしていたら見つかった物です。
困惑した様子のご遺族から相談を受けた経験が何度もあります。
いくら終活に精を出しても、それが残される人に伝わっていなければ、それまでです。死後のことは、最終的に本人がコントロールできるものではありません。
私が声を大にして言いたいのは、一にも二にも「家族で対話をしっかりしてほしい」ということです。

そして私がすごく重要だと思うのは、「『終活をしている本人の思い』と『見送る人たちの思い』は必ずしも一致しない」ということです。
「子や孫に迷惑を掛けたくない」というお墓の相談でこんな会話をしたことがあります。
Q.○○さんはご先祖のお墓を迷惑だと思ってきましたか?
A.いいえ、とても大切に思ってきました。
Q.では息子さんは迷惑だと言うと思いますか?
A.分からないですけど負担を掛けたくはないです。
――まずは息子さんがどう思われるかよく話し合ってみてください。ご両親がお元気な今と、亡くなられてからとではまた考えが変わることもよくあると思いますので、最終的には息子さんの判断に任せられたらよいと私は思いますが…以下略

自分の死後について「家族に伝えること」「家族と話し合うこと」この二つが抜けると、終活は簡単に台無しになってしまいます。どうか世代間コミュニケーションも重要視してほしいと思います。

今回私がお伝えしたいことは以上です。
ですがここで終わると文章量がいつもの半分以下になりますので補足として、ではなぜ「終活はしているのに、家族と話し合えていない」ケースが出てくるのか、以下にその背景を考えてみたいと思います。
そこには、終活を考える世代――特に団塊の世代前後が生きてきた時代背景や、家族観の変化が大きく影響していると私は感じています。
ご興味のある方は引き続きご覧ください。
あくまで時代背景の考察であり、断定ではなく傾向の分析です。


◆時代背景
では、その世代が生まれ育った時代背景を振り返ってみます。
・三世代同居(仏壇のある家)が当たり前
・家庭内の役割分担が明確で、年長者の権限が強かった
・仏事や神事の作法は、言葉にせずとも自然に身につく環境

一方、社会へ出る頃の日本は高度経済成長期でした。
・職業の選択肢が大きく広がり
・家を出る自由、地域を離れる自由
・親の価値観からの自由

これらを手にして核家族化が急速に進みます。
つまり「解放された世代」と言えます。
その反動として、子世代への配慮をし過ぎている面もあるのではないでしょうか。
「口出しすると嫌がられるのではないか」
物理的な距離に加え、心理的な距離も取るようになったと見えます。

そこで終活の話につながります。
死後に迷惑を掛けまいと、葬儀や供養まで自己完結しようとする姿勢は、この時代背景の延長線上にあるように感じます。

◆故人の思いと子の思いは一致しない
会社に例えてみます。
ある先輩が定年退職を前に
「俺の送別会なんてしなくていいよ」
と言ったとします。後輩たちはそれを真に受けて
「本人がいらないと言ったので何もしません」
となるでしょうか。
葬送や供養も同じです。
「散骨してほしい」と望んだ方の家族が、毎年命日に船を出して花を手向けるという例もあります。

◆葬儀や供養はタブーではない
喪主になった方の多くが
「初めてのことで何も分からない」と言われます。
「みんな同じですので大丈夫です。何でもお聞きください。」と始まって説明すると、一つ一つ丁寧に向き合われる方が多いです。
(逆に仏事を面倒に感じたのか、フェイドアウト気味になる方も一定数…。ただしこれも伝承の機会がなかった弊害だとも思います。)
「教わる機会がなかった」という声は少なくありません。
かつて終活はタブーでした。今はブームです。
終活の中に、「家族と対話する時間」も大切な要素として含めていただけたらと思う、令和8年(2026年)の始まりです。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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