【うまく維持されているみなし墓地例】続・全く大手メディアが報じない墓じまいの実態【岡山田舎版シリーズ】

皆さんがお寺に法事の日程相談をするとしたら、まず何を使いますか?
多くの方が「電話」を選ばれています。実際、拙寺では9割以上が電話、次に直接訪問、次にメールです。
仕事でも私用でも「電話派」「メール派」の議論がありますが、相手がお寺となると、少し独特な心理が働くようです。
では、お寺はその電話・メールをどう受け止めているのか。
その“内側の事情”はあまり知られていません。
今回はそんな知られざる「お寺の電話事情」 について、少し詳しくお話しいたします。
ご興味のある方は、ぜひお読みください。
もくじ
1.電話を掛ける方の心理(私の推察)
2.お寺にメールは失礼??
3.お寺の電話とメールの使い分け
4.掛かってくる電話の50%以上は○○
5.自動音声システムを導入できない事情
1.電話を掛ける方の心理(私の推察)
「使いやすいから」という方ももちろん多いと思われますが、普段はメールを当たり前に使っていても「お寺にメールは失礼かも…」と思って電話されている方も多いと推察されます。なぜなら今や寺同士でもメールを使うのは普通なのに対し、檀家さんなどからの問い合わせは電話率が圧倒的に高いからです。
ちなみに直接訪問ですが、「直接のほうが丁寧だから」という(風に見受けられる)方も一定数居られます(『法事の相談に伺いたいのですが…』という事前電話もあります)。
2.お寺にメールは失礼??
先に結論として『少なくとも私は全く失礼だとは思わないです。ただしお寺や住職さんにもよると思います。』ということです。むしろメールのほうが助かる用件もあります。
拙寺ではホームページや封筒にも住所や電話番号に加えてメールアドレスを記載しています。これはさり気ない「メールOKのサイン」です。また、
・寺報(配布物)に記載がある
・名刺に記載がある
ような場合はメールOKの可能性が高いと思われます。
気になるようでしたら「メールで連絡してもいいですか」と住職さんに一言尋ねてみるとより丁寧だと思います。
ただし気を付けてほしい点もあります。次章に続きます。
3.お寺の電話とメールの使い分け
仕事においてもプライベートにおいても「電話のほうがスムーズな話」と「メール(LINEも含む)のほうがスムーズな話」があると思います。
しかしデスクワークの職場と違ってお寺の場合、寺務所のパソコンを一度も開かない日もあります。なのでメールの返信には時間が掛かりがちです(今はスマホでメール確認はできています)。
事例別(あくまで私の場合)で考えてみます。
■法事
冒頭のような場合、メールなら、
・お互いに間違いのない文字として認識される。
→電話の聞き間違いで大慌てになったことがあります。
・「折り返し」が少なく話が済む。
→都合が合わない場合、別日をお寺と親族と相談しての折り返しが続くケースがあります。
・他に相談したいことがある場合は伝わりにくい。
→「準備するもの」「お墓のお花」「お布施の目安」「お食事は」など他に細かいニュアンスがメールでは伝わりにくい話になると、こちらから電話させていただく場合があります。
■葬儀
これは急を要するものなので電話一択です。
話は逸れますが、訃報の連絡も昔と少し変わりました。
昔は夜中でも電話が鳴ることがありましたが、今は遅くても22時までになっています。深夜に亡くなられた方は翌朝に電話してこられます。
葬儀屋さんのアドバイス、相手への配慮する風潮、葬儀の簡素化(“枕経”がほとんどされなくなった)などの要因があると思います。
■仏事相談系
お墓や仏壇にまつわる相談。
メールが来た場合、返答は内容によってメールか電話を使い分けています(自己都合ですみません…)。
■お悩み系・雑談系
私はあえてメールで来たらメールで返信するようにしています。
(電話にすると長くなりがち…という事情もありますが、)メールが返ってくるのを楽しみにされている方もいると思うからです。
夜遅くの電話は消えたと言いましたが、用件にかかわらず朝早いお電話は昔も今もあります。
「お坊さん=朝早い」というイメージがあるのでしょうか。
4.掛かってくる電話の50%以上は○○
これは多くの方に知ってほしい点です。
肌感覚ですが半分以上は『セールス電話』なのです。
拙寺のように家族運営のお寺(しかも庫裏に住む形)では、家庭の電話とお寺の電話が同じ番号のことも多いため、両方に向けたセールス電話がバンバン掛かってきます。
「電話は時間ドロボー」という言葉もあります。集中して何かをしている時に電話が鳴って手を止めて出ると過半数がこれです…。
訃報かもしれませんので全て同じ口調で受話器を取ります。
では「ブロックする機能を導入したらよいのでは?」と思われるかもしれませんが、なかなかそうもいかないお寺ならではの事情があるのです(次章)。
5.自動音声システムを導入できない事情
例えば皆さんがお寺に電話をして、
「はい、○○寺です。法事の予約は❶を、仏事相談は❷を…」
のように自動音声が流れたらどのように感じるでしょうか。
これこそが“導入できない事情”です。
地方と都会とでは異なるかもしれませんが、少なくとも拙寺では「お寺らしくない」「人間味がない」「冷たい」など不満の声が噴出しそうです。こういうシステムに慣れていないお年寄りが多いことを加味すると、なおさら拙寺には不向きです。
ならば・・・「迷惑電話防止のため、この通話は録音されます」のシステムなら、不満もそこまで出ずにセールス電話も防げるのでは?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これにも私が聞いた失敗例があります。
とある山間部のお寺さん。
録音機能を導入したところ、やはり「お寺らしくない」「話すのに圧迫感がある」などの意見が多数寄せられて取り止めたそうです。
◆まとめ
以上を踏まえますと、人々の持つ・望むお寺像やお坊さん像が、少し見えてくるように思います。
お読みいただいた皆さまには、お寺側の裏事情も知っていただき、今後の参考になれば幸いです。
最後にあらためて申し添えますが、メールで連絡してみたいけれど二の足を踏んでいる方はそんなに気を遣わないで大丈夫です。
◆追伸
セールス電話対策について、もし良い方法をご存じでしたら、電話でもメール(chonichiji@minos.ocn.ne.jp)でもお気軽に私へお寄せください。
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。





