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【誰得情報】葬儀会館/寺院控室の内側【豆々知識】

若松慶隆

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一般の方には知り得ないと思われる「寺院控室」のお話、ご興味のある方は暇つぶし程度にご覧ください。

「寺院控室」とは葬儀会場において僧侶(宗教関係者)に用意されるお部屋のことです。会館によって控室の中身は様々ですが、「時代の変化による傾向」や「(私にとって)痒い所に手が届くような葬儀社さんの配慮」などなど裏話を以下にまとめます。

➀寺院控室におけるタイムスケジュール
➁寺院控室の内側と近年の傾向(実例)
③面白エピソード


➀寺院控室におけるタイムスケジュール
これはどこの会館でもほぼ同じなので、まずタイムスケジュールについて。
仮に午前10時開式-11時出棺の葬儀とします。
《9時半ごろ会館着》
私はだいたい開式20~30分前に会場入りするよう心掛けています。
《その後すぐ》
控室に入るとすぐにお茶とおしぼりを会館スタッフが持って来てくださいます(お菓子や立飯がある場合も)。
「お飲み物は如何なさいますか?」と聞かれたりメニュー表を示される会館もあります。
《その後》
次に司会者さんが打ち合わせに来られます。
内容としては、「寺院名」「開式・焼香・弔電のタイミング」「出棺先導の有無」「全体の時間」などの確認です。「朝日寺」のアクセントを確認される方も居られました。
《その後》
喪主様があいさつに来られます(省く場合もあります)。
お互いお式も迫っていることですし「今日もよろしくお願いいたします」のあいさつぐらいです。深い話はお通夜の席などでします。
《9時40分ごろ》
ここから衣を着替えます。順調なら開式まで10~15分程度は時間が出来ます。故人のお名前や行年、戒名、諷誦文などの最終確認を行ないます。
《9時55分ごろ》
「それではお願いします」とスタッフから声が掛かると入堂・開式です。
《10時40分ごろ》
再び控室に。ここでもお茶などを出してくださいます。
衣を着替えて、出棺の準備をします。「そろそろ出棺です」と呼ばれるまで“ちょっと休憩”です。

➁寺院控室の内側と近年の傾向(実例)
私が葬儀に行き始めた18年前当時は畳の部屋(広さは様々)に「机」「座布団」「スタンドミラー(全身鏡)」「ハンガー」「メモ用紙とペン」「コンセント」が大抵備えられており、他はテレビ・書道用品が有ったり無かったりといった感じでした。
(先述の“休憩時間”にテレビを見ようにも、音漏れは失礼だと思うので私は見ません。)
それが時代の流れとともに寺院控室もどんどん進化しております。
例えばこういったものを完備した会館もあります。

『椅子』
これは時代ですね。ふかふかのソファーが置かれている会館もあります。

『Wi-Fi』
例の“休憩時間”にスマホで動画を見たりもできます。
遠方の会館に早く着いた場合など、隙間時間にパソコン仕事も快適にできます。有るとありがたいです。
ただしこれは寺院向けと言うよりは利用者全体のためのサービスかと思います。特に、会館で寝泊まりするご親族も居ますので便利です。

『お手洗い』
トイレ付きの控室も有ります。これは本当にありがたい存在です。
ありがたい理由は「他の人と会わずに済むから」です。
と言いますのも、着物姿の自分が参列者とトイレで出くわすのは少々気まずいものでして…、トイレ付きなら全くその気を遣う必要はありません。
ただしこれは「元々の控室」なのか「親族控室が空いていたから“アップグレード”してくれた」のかは分かりません。

新たに加わったサービスの話に追加して、変化していると感じるものもあります。それは、『控室のプレート(表札?)』です。
寺院名が表記されず、「導師控室」「寺院控室」「宗教者控室」といったものが増えています(特に都市部)。
理由として考えられるのは汎用性の面と、(一日一組限定の)家族葬ホールが増えているからではないかと思います。

③面白エピソード
部屋のレイアウトよりも会館によって違うのはその位置。
ふすま(扉)一枚で隣の部屋と繋がっている場合があります。

隣に居るのが知っている住職で、ふすまを開けて世間話したこともありました。隣が親族控室の場合、子供やお年寄りがふすまを開けてしまうのはあるあるです。
座布団を並べて寝転んで休んでいたところを見られてしまったこともあります。個室とは言えど気を抜いてはなりません。
何十年ぶりに再会する方が入って来ることもあります。
ご遺族とコミュニケーションを深められるのは良いことだと私は思いますが、そういった事情なのか盗難防止なのか『鍵付き』の会館もあります。

ちなみに自宅葬の場合どうなのかと言いますと、ちゃんと控室は用意されます(無い場合もあり)。お葬式のある家ではなく隣の家を「宿(やど)」として、お手伝いの十戸の方や寺院の控室に使われます。

最後に、住職への行き届いた配慮に感謝申し上げます。
今後は『USBコンセント』が増えてくると勝手に予想しています(願望込み)。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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