【うまく維持されているみなし墓地例】続・全く大手メディアが報じない墓じまいの実態【岡山田舎版シリーズ】

「お線香は何本立てればよいですか?」という質問をすごく多く受けます。
なぜかと考えれば、確たる教科書がないからだと思います。
何でもスマホで手軽に調べられる現代、「お線香 本数」と検索するとたくさんの情報サイト(仏壇店・葬儀業者など)が出て来ます。
しかし仏事に関しては諸説あるものが多く、サイト間で情報が違っていることもあり、注釈で「宗派や地域によって異なります」「詳しくはお寺さんにお尋ねください」といった文言もしばしば目にします。
だから私(住職)のところにその質問が回ってきているのかと思われます。
実際は何本であっても、不正解はないです。
私自身は「四十九日までは1本」「それ以降は3本」と高野山で教わりました。ところが同じ高野山でも誰から伝授を受けたかで異なる場合はあります。
1本でも2本でも3本でもそれぞれに意義があります(考えられます)。
例えば、
1本 … 一筋に進むように、など
2本 … 本尊様とご先祖様、自行と他行、など
3本 … 過去世・現世・未来世、仏法僧(ぶっぽうそう)、身口意(しんくい)、など
どれも理由付けはあるので間違いではないです。
物価高の昨今、お線香も値上がりが著しいです。節約のため3本から減らすのも大いに結構だと思いますし、1本を2~3本に折って使う手段もあります。
なので私は「お好きな本数でいいですよ」と言いつつ、住職に明確な回答を求めている感じの方には、先の「私は『四十九日まで1本、それ以降3本』と習いました」とお伝えしています。
実のところ住職にはっきり教示されることで安心する方が多いのかもしれません。
我が家、我が一族、我が集落のやり方があれば大いにそれを尊重してください。昔からの伝承は大変貴重です。
ただし注意が一点。
タイトルの後半の言葉、「論争」はやめてほしいです。
ここで言う「論争」とは、「これが(絶対的に)正しい」と思い込んで、他の人のやり方に口を出す行為。
法事でお参りした先で、「3本でしょ!?」「いや、普通は2本でしょ!?」という論争を見かけたことは何度もありますし、私自身「お坊さんなのにそんなことも知らんの?」と言われたこともあります。
でもよくよく考えてみればこんな論争が起こるのは仏事に関心があるからですよね。「知らないことを知らない」状態の方が多くなっているのが実状です。
最後に。相手(仏様・ご先祖様)に喜ばれる行ないが供養の根本だと思いますので、お線香の本数もやはり大切なのは「ご本人の思い」だと思います。
意義を踏まえてお線香を立ててみたら、より供養が身近になるとも思いますよ。
あくまで参考程度にということで、今回も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。



