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【御膳・懐石料理】法事の食事を語る【追善供養】

若松慶隆

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法事後は皆さん揃っての会食。これは法事の醍醐味とも言えます。
新型コロナの5類移行後、宴席は復活傾向にあります。
今回は法事における食事(=お斎と言う)についてのお話です。

➀お斎の意義、功徳
➁御膳料の意味
③住職がご一緒するかは十人十色
➃昔と今の違い
➄私の出席経験談



➀お斎の意義、功徳

(以下 大阪市民葬センターHP引用)
法要・法事の食事には大きく2つの意味があります。
1つめは「供養」のためです。
仏教では現世の人の善い行いが故人の供養につながると言われています。
食事を振舞うという善行をとおして、故人の供養をするのが法事での食事の意味の1つです。
これを「追善供養」と呼びます。
2つめは参列者やお坊さんへ感謝の気持ちを表したり親族の親睦を深めるためです。
お礼として料理を振舞い、また最近では故人の思い出話などをしながら親族同士の親睦を深める意味合いが強くなってきています。
(以上、引用終わり)

お墓参り済ませたら解散の法事も大いにありますし、仕出し弁当を参列者に持ち帰ってもらう法事(これがコロナ期間中は多かった)もありますし、必ずしも食事の席を設けなければならないということは一切ないです。ケースバイケースでいろんな法事の形はあります。
でも会食するのも供養であり、故人の仏縁で集まった方々が親睦を深めること自体が功徳のある行ない。私は『食事も法事の一部』と位置付けています。
私はご当家の方からお誘いがあれば可能な限りご一緒させて頂くようにしております。



➁御膳料の意味

御膳料とは何たるものか、正しい意味を知らないままだと『お布施にセットするお決まりのもの』『食事代に五千円や一万円って高くない?』と形骸化してしまいがちです。
御前料とは「本来はご住職にもお食事をご用意するところではありますが、今回はその代わりにこれをお納め下さい」という意の“お気持ち”です。
お寺さんによっては「お食事には同席しない、持ち帰り御膳もNG、御膳料は一律〇円とする」という所もあります。


③住職がご一緒するかは十人十色

私がお誘いがあれば可能な限りご一緒させて頂く理由は至って単純。
『貴重なコミュニケーションの機会、それも大事な仕事のひとつだと思うから』
です。
しかしお食事へのスタンスは住職さんによって大きく違います。
私と同じような考えの方も居れば、
「行った家と行かない家が出るのは不公平だから」
「家族親族の席に同席するのは…」
いろんな理由で同席しないスタンスの方も居られます。
抱える檀家数によって法務日程の混み具合も大きく異なるので、一概に何が正しいとは言えません。


➃昔と今の違い

法事のお勤めが終わったら次はお墓参りに。
昔ながらの法事はお墓参りに出向くのは基本的に男性陣。女性陣は家に残って次の準備をします。手料理はもちろん、席のセッティング、参列者から持ち寄られたお供え品(お菓子系)の箱開けと仕分けなどを連係プレーで短時間にこなします。
《地域によってはこれらを親族でなく十戸が手伝う地域もあるそうです》
お墓参りから男性陣が帰り、席に着いたら施主様が一言あいさつをして食事開始。女性陣は別部屋が設けられており、引き続きお給仕役。ビールやお茶の配給、冷めないタイミングでの茶碗蒸しやお汁物の提供も。
これが昭和時代の法事における食事のスタイルです。朝日寺の檀家さんにおいて今もそれを出来ると思い浮かぶのは1軒くらいです。

時代とともに食事のスタイルもどんどん変化しました。
まずは手料理が減り、仕出し屋さんから御膳を取るようになりました。次は仕出し御膳が減り、懐石料理店(民宿含む)に移動する方が多くなりました。対抗する仕出し屋さんは「少数対応可」「机・椅子の貸し出し」「家に上がってのセッティング」などサービス強化を図っています。懐石料理店の方も「送迎付き」などのサービスをしています。


➄私の出席経験談

私個人的には各人の立場(職業や年齢など経験談)から得られる情報は自分の知識教養を深める勉強の場にもなりますし、何より各檀家さんと普段出来ない対話が出来る貴重な場であると思っております。
ただ③で述べた通りお食事にご一緒しないスタンスの住職さんも現状多いのですが、私の経験上で言わせて頂くと、
>『行った家と行かない家が出るのは不公平だから』
→ご招待があってもお断りしたことは何度もありますが、不平不満を言われたことは一度もありません。
「今回はすみませんが、またの機会に誘って下さいね。」
ぐらいの対応で皆さんご理解して下さっている、と感じます。
>『家族親族の席に同席するのは…』
→住職に同席して欲しくないご当家様はそもそもお誘いしないでしょうし、来てほしいと思って下っているからお誘いしている、と私は解釈しています。

とても喜んで下さった檀家さんも多く、一度でもこういう場を経ると距離感がグッと縮まると感じます。
檀家さん側も住職と普段出来ない話をすることで得られるものはあると思いますけどね。ひとつひとつ積み重ねて行きたいですね。

最後に、個人的に『仕出し御膳』と『懐石料理店』のどっちが好きかを申しますと、恐縮ですが『仕出し御膳』の方が正直助かりますね。
御膳なら後に予定が詰まっていてもホンの15分だけ顔出しといて持って帰ることが出来ますが、お店はコース料理なので最後まで同席する必要があり、どうしてもお断りせざるを得ない場合が多くなります。
家で御膳囲むよりお店に出向く法事が多くなっているのは何とも私個人としてはちょっと心苦しい点です。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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