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お仏壇に写真を置いてはダメなのか!?【遺影の話】

若松慶隆

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遺影とは故人を偲ぶために飾る写真のことですが、その写真を「お仏壇に置いてはいけない」という話を聞いたことがあるでしょうか?
チラホラそういうお話は耳にします。
これは決して宗教的にNGとかはなく「置いてはダメ!」というわけではありませんが、あまり好ましくはないと思われる理由はあります。
お仏壇とは本尊を安置しご先祖の位牌を供養する信仰の対象とするものですが(詳しくは『お仏壇の存在意義【←ほとんど知られていない】』をご覧下さい)、そこへ写真も置くと一般的な感情として移入してしまい、お位牌やご本尊が二の次になってしまう、というものです。
実際にはお仏壇に小さいサイズの写真を置いているご家庭も多数見受けますが、あくまでもお仏壇の意義は知った上にして頂きたいとは思っております。
位牌が隠れるぐらいにドーンと遺影が……、さすがにこういう場合はアドバイスさせて頂いたこともあります。
なのでお仏壇は先祖供養・信仰の対象として、遺影は故人を偲ぶものとして分けて(たいてい仏壇の部屋の鴨居の上辺り)大切に維持することが好ましいと思います。

≪ここから遺影の話≫

ここから遺影の話に脱線します。(※定期:諸説あるのでご留意下さい)

➀遺影の成り立ち
そもそも遺影が世間一般に普及したのは戦後と言われております。
それまでは歴史に出て来るような人など『特別な人』だけに遺影は残されておりました。(歴史に残すため。写真が出来る前は『死に絵』。)
戦時に入り出兵が命じられた軍人は『特別な人』であり、戦没するかもしれないので遺影を撮影するようになりました。そこから技術の進歩も相まって一般の方にも遺影の文化が広まったということです。
スマホで簡単に写真が撮れる今日ではほとんど聞くことはなくなりましたが、少し昔まで特にご年配の方には『写真=遺影=死』を連想するものであり、心霊写真なるものも信じられていました。

➁いろいろな遺影
さて、私は数々のお葬式に出ていろいろな遺影を見てきました。
この10年ぐらいだけを考えてもすごく進歩していると感じます。
以前はふさわしい写真がなかなか無い場合、免許証の顔写真を拡大して使うケースがよくありましたが、今はピンボケも補正でき、また服装や背景も自在に組み合わせられるようになっています。
親族の結婚式など、節目で撮影された写真が遺影に使われているケースは多いですし、介護施設で誕生日に撮ってもらった笑顔の写真も見受けます。
90代で亡くなっても50~60代のお気に入りの写真を使われた方もいました。
でもここでひとつ気に留めておいて頂きたいのは『無理に遺影は無くてもOK』ということです。遺影はあって当然くらいに普及しましたが、決してないといけないという訳ではありません。もし良い写真が見つかれば後から作ることもOKです。遺影のないお葬式も経験ありです。

③個人的に思うこと
いろんなご遺影を見させて頂き、自分だったらこんなのが良いな・・・と思ったりするのですが、『(長生きしたとして)亡くなる10年前くらいの元気な表情の写真』が良いと思っています。
若い時の写真はどうしても「若くして亡くなった人」という印象を与える、逆に最晩年の写真は「年老いた高齢者 」(…失礼)の印象を抱いてしまいます。なので、自分ならある程度まだ元気な頃の姿を思い出してもらえる写真が良いなと思います。(全くに個人的感想です)

➃最後に…
老若男女、誰しもが今日明日どんな事に遭うか分かりません。
万々が一のためにも、お気に入りに写真は共有しておくべきだと思います。
人生よりもはるかに長い年月、後々見られるものですので。

いつの間にか脱線話の方が長くなりました。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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