【うまく維持されているみなし墓地例】続・全く大手メディアが報じない墓じまいの実態【岡山田舎版シリーズ】
『お気持ち』の目安を明確化するべきか否か、長年の難題です。
肌感覚ですが現時点で備前地域の寺院において、法事やお葬式のお布施金額を決めているお寺と決めていないお寺、約半々くらいかと思います。
当の拙寺は決めていない側なのですが、
「今度の法事のお布施はいくらくらいお包みすればいいですか?」
というご質問は非常に多く、
「決めてはいませんが〇円くらいの方が多いです。あくまでお気持ちなので参考程度にお願いします。」
のような感じでお答えしています。
『あらかじめ決まっていた方が助かる』というご意見も『決めることによる弊害』も私は重々理解しているつもりではいます。ただ、決めるべきか否かについてはお寺さんによっても一般の方にとっても意見がかなり分かれていますので、今回は双方の現状分析と、最後にちょこっと私の思いを書かせて頂ければと存じます。
➀問われる『対価性』の有無
まず前提として宗教法人へのお布施は一般のビジネスとは違い、サービスに対する『対価』ではなく、『お気持ち』である、という“建前”があります。
完全に金額を明確化してしまうとそれは宗教行為ではなくなり、課税の対象となり得ると、昔から疑問視されています。
(ちなみに完全定額化を謳っている『僧侶派遣業者』は既に国税局が目を付けており、そのうち摘発されるという話をセミナーで聞いたことがあります。手数料という名の業者へのキックバックもありますので。)
➁では決めているお寺はどのようにして決められているか
ではお布施金額を一見決めているように見えるお寺さんは全て摘発対象なのかと言うと、そんなことはありません。
うまく『仕組み』があります。
いわゆる『お布施目安表』は総代会において、「○○の際は〇円のお布施をしましょう」という檀家同士の申し合わせとして決められたものであり、あくまでお寺や住職側が要求するものではない、ということです。
③お布施の金額を決めるメリット・デメリット
・なんと言っても明朗なほうが気を遣う必要なく済むというのが最大のメリットだと思います。
・『お布施=お気持ち』という感覚が薄れてしまうこと、決められることで“ありがたみ”などが無くなるという方も一定数居られます。
・また、お金に困っている方が葬儀・法事を行いにくくなることも考えられます。(困っている方に寄り添うのも役目だと思いますが…)
(前述の通りその目安金額は檀家同士の申し合わせであり、それを外れることがルール違反ではないのですが、当事者としてはかなり躊躇すると思います。)
➃私の考えなど
世の流れとして、お布施の明朗化路線拡大は避けられないと思います。
ただ、金額を決めていない朝日寺においては、『相場より少ない方も多い方も居られる中で帳尻は合っていること』そして『冒頭で申し上げた通り聞かれたらお答えする、で現状はうまく行っていること』から、可能な限りは現状を維持できたらと考えております。
檀家さん各位には『対価』ではなく『お気持ち』という感覚をぜひ持ち続けて頂きたいと思っています。