【うまく維持されているみなし墓地例】続・全く大手メディアが報じない墓じまいの実態【岡山田舎版シリーズ】
寺社目線のお話ですが、お賽銭を取り巻く環境が大変厳しくなっております。
今どんなことが起きているか、また将来どうなるかを少し考えてみます。
➀進むキャッシュレス化、小銭を持たない社会。
➁小銭入金有料化に頭を悩ます寺社。
③これからお賽銭文化はどうなるか。
➃≪蛇足≫なぜお賽銭は放り投げるか。
【➀進むキャッシュレス化、小銭を持たない社会。】
クレジットカード、交通系ICカード、スマホ決済。日本でもキャッシュレス化が進んでいます。特に小銭を持たなくなっている傾向は強く、お賽銭は多くの寺社で減りゆく運命にあります。
一部の寺社では、キャッシュレス決済を出来る賽銭箱を設けたり、「小銭を投げ入れる」感触を無くさないため、キャッシュレス決済可能な両替機を設けているところもあるようです。
しかし大半の寺社にはそんな余裕は無く、社会の変化になすがままになっているのが現状です。
【➁小銭入金有料化に頭を悩ます寺社】
以前は小銭の入金に手数料はなかったものの、現在は手数料が必要です。
ゆうちょ銀行を例に取ると『窓口では50枚までは無料ですが、51枚から100枚までは550円。(後略:公式HPより)』となっています。
つまり、1円玉を100枚入金すると450円もの赤字。
5円玉を100枚入金すると50円の赤字。
となるのです。
これは大きな問題で、多くの寺社が頭を悩ましています。
あるお寺では正直に「赤字になるため10円以上を入れて下さい」と貼り紙をしていたり、特定のお店と契約して『お互いに両替』をしたり、参拝客にお札から小銭への両替を促しているところもあります。
(当の朝日寺では、とある商店にお世話になり『お互い両替』をして助かっています)
【③これからお賽銭文化はどうなるか】
おそらく現時点では「お賽銭は賽銭箱にチャリーンと投げるもの」「お賽銭にまでキャッシュレス決済は馴染まない」という感覚の方がまだ多いと思いますが、キャッシュレス決済がネイティヴな世代が大人になると、お賽銭文化は消えてしまうかもしれません。
そんな中でどうすればお賽銭文化を残していけるのか、はたまた時代の変化とともにお賽銭文化も変わるべきなのか、それともお賽銭文化は無くなってよいものなのか、対応していくことが求められます。
(特に『投げ銭供養』がある朝日寺では、本気で考えるべき段階にあります。)
【➃≪蛇足≫なぜお賽銭は放り投げるか】
仏様へのお供え物は普通投げるものではなく丁寧に供えるものですが、なぜかお賽銭は放り投げるものです。「仏様に向かってお金を放り投げるとは失礼なのでは!?」と思われるかもしれませんが、その理由には諸説あります。
私的には『解脱(げだつ)の行為の現れ』ではないかと考えております。
お金は執着のひとつ(=煩悩)であり、それをいかに切り離すか(=解脱)。
お布施や寄付とは違い、お賽銭は全く名前も金額も知られない純粋な『お気持ち』です。その『お気持ち』を表す行為がお賽銭だと思っております。
さて、その名もなきお気持ちのお賽銭、今後どうなるでしょうか…。