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【タブー中のタブー】教育現場と宗教(の現状を憂える一住職)

若松慶隆

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今回のコラムは、タブーな内容につき削除される可能性が考えられます。
しかし恐れていては何も事が進みませんし、誰かが言わないと誰にも知られない事ってたくさんあると思います。少し覚悟を決めて書かせて頂きます。
お早目にお読み下さい。

さて表題の件、教育現場(特に公教育)では宗教が完全にタブーとなって久しいです。
そこでどんな問題が起きているか、また今後どうなっていくかを考えたいと思います。

➀修学旅行に見る宗教問題
➁拙寺でも実際に起きた出来事
③日本人の宗教観
➃歴史の授業が将来消えるかも!?



➀修学旅行に見る宗教問題

学校の教員さんやバスガイドさんから実際に聞いたお話です。
修学旅行は宗教のことで毎年ピリピリしているそうです。
「○○寺にうちの子は参らせないで下さい。」
「○○寺に行くことは構わないが△△殿への拝観はさせないで下さい。」
他宗教に排他的な教義を持っている宗教をやっている保護者が一人でも居ると、その対応に追われます。教員やバスガイドさんは連携を取りながら、その一人のために待機の役をしているそうです。
そこまでならまだしも、
「特定の寺社に子供たちを参拝させるのはやめて下さい。」
という『一部の』声で、旅程を変更せざるを得なくなったケースもあるそうです。
東大寺や法隆寺、清水寺、金閣寺(鹿苑寺)は修学旅行の定番のはずですが、それは歴史や文化に触れる学習の場であり、何も特定の宗教云々とは全く別次元の話だと思うのですが、一部でも声が上がれば聞かざるを得ないのが現状のようです。

➁拙寺でも実際に起きた出来事

拙寺(朝日寺)でも10年以上前に関連した出来事がありました。
例年『花まつり』には地元の園児(現在廃園)がプチ遠足に来ていたのですが、ある年、園長さんから、
「宗教行事にうちの子供たちを行かせられない」
と通告されました。
誰が誰だかみんなが分かるような小さな田舎ですので、園児たちのことは顔も名前も親も分かっています。
確たる証拠はありませんが、園長さん自身が仏教に敵対的な宗教の信者だったか、一切宗教には関わりたくない主義だった可能性が高いです。
(実際にはその後、お寺の役員さんを中心に地域住民から園長さんは猛反発を受け、例年通り花まつりには来ました。)

③日本人の宗教観

さて、皆さん『シュウキョウ』という言葉を聞いてどんな感情を抱くでしょうか。
例えばお家の近所に由緒正しきお寺があったとします。
「うちの近所には古いお寺があるんですよ。」
と聞いて悪い印象を持つ方は少ないと思います。
「へー、風情がありますね。」
ってぐらいでしょう。では、言い方を変えて、
「うちの近所には『宗教施設』があるんですよ。」
と聞いたらどうでしょう。
「気持ち悪い」「怖い」「胡散臭い」
そんな印象を抱くのではないでしょうか。
それは『宗教=悪徳・悪質な新興宗教』を条件反射的に連想するからであり、どうしてもそうしたイメージが大半の日本人には染み付いていると感じます。
問題はどんな悪質な新興宗教も、拙寺(高野山真言宗)のような伝統宗教も、カテゴリーとしては同じ『宗教』にカテゴライズされるということです。
なのでどうしても伝統側は守りの姿勢にならざるを得ない現状にあります。

➃歴史の授業が将来消えるかも!?

極論を言うと、このままでは歴史教育が出来なくなるのではないかと思っています。
歴史と宗教は切っても切れない存在です。
「特定の宗教について授業で教えるな」
と言われ始めたらどうするのでしょうね。
『教育現場と宗教』、本当に闇の深い問題です。
多くの方にまずは知って頂きたい・考えて頂きたいと思い、執筆致しました。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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