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【続・戒名論】よくある戒名トラブル【知っておいて頂きたい】

若松慶隆

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業界の常識は世間の非常識、その業界では当たり前だと思っていたことが実は世間では全く知られていないことってあると思いますが、お寺にはまさにそれに当たることがあります。そのひとつが戒名です。

前々回は「戒名とは何か」前回は「なぜ戒名にはランクがあるか」についてお話ししましたが、今回はその続編として「よくある戒名トラブル」についてのご紹介と知っておいて頂きたい注意ポイントをお話致します。

ケース➀
菩提寺(A寺)もお墓も岡山にある東京在住Xさん。Xさんが亡くなり菩提寺A寺は遠いため「A寺には連絡なく」葬儀社さんの紹介で東京のB寺さんにお葬式をしてもらった。戒名もB寺さんで付けてもらった。
その後お墓は岡山にあるため、A寺さんに四十九日法要と納骨をお願いしたところ・・・
・A寺で付けた戒名でないと出来ない、「戒名付け直し」を求められた。
・A寺以外で付けた戒名のため、「追認料(ついにんりょう)」を求められた。
というケースがあります。

おさらいですが、戒名とは「仏教徒として仏門に入った証として『菩提寺の住職より』授かるもの」です。その住職にはまた師僧が居て、そのまた師僧が居て、・・・元は大日如来や弘法大師から続く弟子の関係『血脈(けちみゃく、と言います)』を結んでいることになります。ですので、基本的に戒名は付けてもらったそのお寺でのみ通用するお名前ということになります。
ここが最も世間とのギャップのあるポイントでして、一般の方は知らなくて普通だと思います。なのでこんなことは知らない前提で、事前に担当した葬儀社さんやB寺さんが「菩提寺の有無や関係性」などの確認を徹底して下さればトラブル防止になると思うのですが、現実には(葬儀後に)「四十九日お願いします」と言われてくるパターンが後を絶ちません。
こういった事も「戒名=煩わしいもの」というイメージを増幅し、寺離れの一因とするならば大変憂慮すべき事態だと思います。


ケース➁
「自分で戒名付けてもいいですか?」「自分で付ければタダですか?」と言われるパターン。


これは確実に一部テレビの悪影響だと思います。
前々回からお読みの方は分かって下さっているかと思いますが、そもそも戒名は自分で付けるものではありませんし、(‘稀に『この戒名にしてほしい』と仰られる場合がありますが、それは『この戒名で住職に認めて欲しい』という意味合いであって、“授与“を抜きにして良いというわけではない)、戒名料が無しになるわけでもないです。
かと言ってこういう方に正しい戒名の知識を持って頂くように、その段になって説明するのも非常に難しいものなのです。。本当に大変ですね。。

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若松慶隆
専門家

若松慶隆(住職)

朝日寺

元銀行員という異色の経歴を持つ住職。多様な価値観でそれぞれの家庭事情に真摯に向き合い葬式や法事などを執り行う。寺の歴史や伝統行事などをHPやSNSで情報発信し、檀家外の人も集う開かれた寺を目指す。

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