【うまく維持されているみなし墓地例】続・全く大手メディアが報じない墓じまいの実態【岡山田舎版シリーズ】
番組タイトルを見た時、「今ハヤリの納骨堂には落とし穴があって破綻した寺もある」という内容なのかと思っておりましたが、実際の内容は「目先のお金に目が眩んで豪遊し、資金難に陥り破綻した残念な住職」「いわゆる宗教法人の名義貸し(法の抜け穴を突いたもので現状違法ではない)は一時前までは『墓地ビジネス』だったのが今は『納骨堂ビジネス』に変容している」といったもので、特に前者は「お寺だから…」「お坊さんだから…」と言うよりは本人の問題かと思いました。
(住職=経営感覚に疎い人が多いという世間のイメージは伏線としてあるのかもしれません。)
以上感想文です。
でもこれで終わってしまってはコラムの体を成していないので、「納骨堂運営に関する私論」を書き置かせて頂きます。
まず結論として、今後納骨堂運営に行き詰って最悪破綻するお寺もあるだろう、と私は考えております。
いわゆるロッカー式納骨堂は当岡山では多くの場合、例えば33回忌を以て合祀(全骨一緒の箇所にまとめる→ロッカーは空室となる→中古物件として別の人に売られる)とうたわれており、あくまで「永代供養」的な存在に位置付けられています。
そこでなぜ私が納骨堂は失敗する恐れありと考えているかと言いますと、求める人は永代供養(その後の費用が不要)である一方で、納骨堂という箱モノを維持する経済的な将来予測が立てられないからです。少なくとも私の中では。
箱モノである以上、大規模修繕は将来的に伴います。ではその資金源は何なのかと考えます。
➀納骨堂の購入費用…?
それだけの利益を生み出せるのかどうかについては住職さん個々の考えなので詳しくは割愛致します。
➁納骨堂利用者(購入者)から寄付を求める…?
先述の通り、納骨堂購入者は「永代供養」的な存在としてお求めになっているのであって、そこから追加で寄進を求めたところで非難轟々と予想します。
➂檀家さんから寄付を求める…?
納骨堂に関係のない縁のない檀家さんからは非難必至でしょう。
➀➁➂より、
運転資金が回るかどうか大きなリスクがあると思っております。…【結論α】
あと触れておきたいのが合祀の話、中古物件と新築物件の違いについて。
33回忌迎えて空室ロッカーが出来たところでそれは中古物件なわけで、近隣に新築物件売り出し中のお寺があれば一般的にはそちらから埋まると思われます。大都市部に比して岡山はまだまだ寺檀関係がしっかりしており、檀家外となると一部層のお客を奪い合いになると考えております。
なので、空室が出来たらまた新しい人が入って…を上手く回していけるのかはかなり懐疑的です。…【結論β】
【α】【β】より、
今のところ拙寺では納骨堂に手を出そうとは考えておりません。行く先に困った檀家さんの受け皿としては、(ほぼメンテナンス皆無な)永代供養塔で充分上手く行っていると考えております。
ここまで読んで下さった方にひとつアドバイスがあるとすれば、納骨堂なり永代供養墓なり霊園なり、ご購入に際しては、運営の住職さんや業者さんに将来的な展望や視野をちゃんとお持ちかどうか、また負の質問に対して真摯にお答えして頂けるかどうかを見極められることはお勧めしたいです。
今回も最後までお付き合い頂きありがとうございました。(了)