心理的安全性を築くには。
先月、中堅のAVメーカーで知られる船井電機が破産手続きに入ったニュースを耳にしました。
500人の従業員は一斉解雇、給与も未払いだそう。
船井電機が「破産」という状態になる原因として大きく2つが挙げられると思います。
まず1つ目は、船井電機の「強み」を生かせなかったということ。
船井電機は、創業時はアメリカ向けのトランジスタラジオのOEMから始まり、
最も調子が良かった時期は、北米や日本市場向けのテレビやプリンターのOEM事業が主力でした。
ただOEM事業というものはブランド力がありません。
船井電機の「他社より安く安定品質」という強みは、
デジタル化の流れと中国商品の安くてまあまあの品質に取って代わられました。
それでもヤマダ電機との提携による「ヤマダ×FUNAIブランド」のテレビは
良い策ではありましたが、売上アップにはつながりませんでした。
ここでの船井電機の失敗は、やはり強みの「他社より安く安定品質」の技術を生かせなかったことです。
経営には、「変えてはいけないこと」と「変えるべきこと」があります。
船井電機の強みを生かしつつも、時代の変化に対応できていないことが挙げられます。
時代の変化を先読みし、新しい技術や製品を開発し、
その製品に合ったパートナーを探す必要があったのではないかと思われます。
ヤマダ電機は良いパートナーではありましたが、それは現状維持のためのパートナー。
新しい市場を作っていくパートナーではありませんでした。
そこが船井電機には足りなかったのでしょう。
2つ目は、ガバナンスの問題です。
売上低迷のところに、トドメを刺したというところでしょうか?
創業者亡き後、船井電機は買収され、
会社や従業員への想いが深くない経営者によって資金が流出し経営は迷走しました。
その結果が、経営破綻し、500人の従業員を路頭に迷わせることになりました。
会社の経営は、最後は「人」です。
経営者は会社のことを考えると同時に、会社のために働いてくれる従業員のことを考えなければなりません。
どのような経緯で買収がなされたかはわかりませんが、
500人の従業員のことを想えば、将来を託す相手として適切かどうか、
もっと慎重な判断ができていたのかもしれないと今更ながら、思いました。
経営者の従業員への思いは、大切にすべきです。