理想の上司像とは
組織内の心理的安全性を築くために、日本企業では「1on1」の導入が盛んに行われています。
上司側に研修を行なっても簡単に1on1のスキルが上達するわけもなく、
1on1がうまく機能しなかったり、忙しさを理由に実施頻度がどんどん落ちていくこともあり、
近年1on1を少しでもスムーズに進めるためのツールも多数登場しています。
もちろんツールを導入することも解決方法の1つですが、
それでも1on1を機能させるベースとなるものは、1on1を実施する上司側にあります。
1on1を使って、部下をどの状態に持っていこうとするかは上司次第なのです。
1on1の目的は、上司と部下の関係の質を向上させること。
部下が話をしてくれなければ、1on1は全く機能しないのです。
ではその場合、上司はどうしたらよいでしょう?
答えは、「上司が自分の話をする」いわゆる「自己開示」です。
それも部下が辟易するような自慢話ではありません。
今までの失敗した経験や日々のプライベートのできごと、取るに足らない話など
上司の人柄や想いなどが感じられるようなできごとを話すのが良いと思います。
そんなことでよいの?と思うかもしれませんが、
部下に「この上司、こんな人だったんだ」「意外と自分と同じようなところもあるんだな」
と思ってもらえることが大切です。
1on1は1回では終わりませんし、続けることで少しずつ効果が出てくるものです。
上司が自己開示し続けることが小さな歩み寄りの積み重ねとなり、
部下の心の扉を少しずつ開けていくことにつながるのです。
「自分がこの部下を変えてあげよう」と思うのではなく、
上司の方から手を差し伸べ、歩み寄り、部下の変化を辛抱強く待つことが大切です。
昭和の時代のように、
上司が無理やり引っ張っていくとか、上司が見本を示す育て方とは異なり、
少々時間はかかりますが、これからの時代はそんな育て方が必要になっています。
子どもと同じように、手がかかる部下ほどかわいいと言います。
時間をかけて関係を深めた上司と部下は、強い信頼関係で結ばれ、
上司の期待以上に活躍する部下が育つことになるでしょう!