今いる「人」を大切に
日本企業は、海外に比べて採用は新卒至上主義なところがあります。
なぜ日本企業は、新卒採用にそんなにこだわるのでしょう?
企業にとってメリットが多いからです。
例えば、新卒者は就業経験がないため、企業文化に馴染みやすく、
その企業に合うように教育しやすいことが挙げられます。
他にも、中途採用者に比べて余分な経験や知識がないため、
一斉に同じ研修を行うなど、特に大企業では効率がよいと言われています。
また、企業が正社員として一度雇用すると、
本人が辞めると言わない限り、定年まで雇用するいわゆる終身雇用が一般的です。
そのため、新卒者を正社員として雇用することで、
企業に合わせて教育した社員は、よっぽどのことがない限り定年まで働き続けてくれるというわけです。
ところが、最近ではこの流れが崩れつつあります。
入社直前にメールで内定辞退を送ってくる学生。
入社してすぐに辞めてしまう若者。
転職を繰り返してしまう若者。
そんな話も最近では少なくありません。
情報化社会は、就業経験のない学生に良くも悪くも多くの情報を与えます。
その情報により、彼らは私たちが考えるより純粋で、理想を高く持ってしまっています。
それなのに入社してみると、理想と現実が違い過ぎて
「自分の想像していた会社と違う」ということになるのでしょう。
今や新卒社員の3年後定着率は7割になっているそうです。
約3割の新卒社員は3年経たずに辞めてしまう。
それを食い止めるために、企業は様々な対応をしています。
新卒社員への初任給アップや本人の希望に沿った配置など。
でもそれをすることで逆に、現社員との不公平感が目立ってしまうことはないでしょうか?
新卒社員がすぐに辞めてしまうことをできるだけ防ぎたい会社の思いも理解できますが、
今まで働いて活躍してきた現社員のことをおざなりにしないでほしいと思います。
これからはますます日本の人材の流動化は進みます。
人財がいかに長く「働いて」くれるかではなく、
人財がいかに長く「活躍して(成果を出して)」くれるかだと思います。
成果も出さず、定年まで細々と働き続ける人材ではなく、
短期間でもしっかりと成果を出し、会社を活性化してくれる人財を求めるべきです。
人財を「会社に合うように」教育するのではなく、
多様な人財に上手く活躍してもらうように「会社が対応すべき」だと思います。
そうなると中途採用をもっと積極的に行えば良いし、
成果を出した後、辞めてしまっても即戦力を雇うことができます。
もちろん、よい人財を会社に留めておくための施策も必要です。
福利厚生や給与を手厚くというよりは、いかにして本人がこの会社で働くことが楽しい、
働くことで自分がもっと成長できると思える環境をつくることが大切だと思います。
変化し続ける環境に、会社も変化し対応することが必要ですね。
そろそろ『新卒至上主義』を返上しませんか?