子どもが勉強に興味を持たない理由とその対処法
大分県立高校入試の際に重要なポイントとなる内申点の計算の仕方、調査書の中身について解説します。志望校選定に際して基礎点数となる内申点によって目指せる志望高校が変わってきます。
内申点とともに高校へ提示される調査書の中身について知ることで、中学生活で気を付けるべき点が見えてきます。
大分県立高校受験の仕組み
はじめに大分県の公立高校の受験の仕組みを見ていきましょう。
大分県の公立高校の入試には、推薦入試と一般入試があります。
推薦入試は、中学校の校長先生の推薦が必要で、1校1学科に限り受験することができます。
(1)推薦入試
大分県の推薦入試には「推薦入試A」と「推薦入試B」の2つの方式があります。
①推薦入試A
「推薦入試A」は、次の学校の学科で行われます。
・別府翔青高校グローバルコミュニケーション科
・大分舞鶴高校理数科
・芸術緑丘高校音楽科、美術科
推薦書、調査書(内申書)、適性検査、面接、小論文で合否が判定されます。募集人員は、入学定員の50%~100%の範囲で各高校が決めます。
推薦要件は、次の各項「すべてに該当する者」とされています。
・当該学科に志願する動機、理由が明白かつ適切である者
・当該学科に対する適性及び興味・関心を有する者
・調査書の各記録が、当該学科に志願するにふさわしい者
②推薦入試B
「推薦入試B」は、「推薦入試A」方式の実施校と爽風館高校を除くすべての高校・学科で実施されます。合否の判断には、調査書(内申書)、面接が重視されますが、小論文を実施する学校もあります。
推薦入試Aと同じく中学校の校長先生の推薦が必要で、「スポーツ活動、文化活動などで成果を収めた」など、高校ごとに推薦要件が定められています。
募集枠は、普通科・専門学科は入学定員の20%以内、総合学科は入学定員の30%以内で各高校・学科ごとに定めます。
推薦入試は一般入試の前に行われますから、志望校を推薦入試と一般入試の2回受けることができます。つまり、2回チャンスがあることになります。ただ、2回チャンスがあるといっても必ず合格できるわけではありませんから、合格できなかった場合を想定し、一般入試対策も行っておくとよいでしょう。
(2)一般入試(一次入試)
次に「一般入試」について見ていきましょう。
一般入試で重要なのは、「①入学試験の点数(学力検査)」「②内申書(調査書)」「③面接」の3つです。
①入学試験の点数(学力検査)
試験科目は、国語、社会、数学、理科、英語(リスニングテストを含む)の5科目。それぞれ60点満点で、合計300点満点です。
②調査書(内申書)
中学校の先生が作成して、生徒が受験する高校に提出します。調査書(内申書)には「調査点」あるいは「内申点」が記載され、この点数は高校受験の合否に大きく関わります(詳しい内容は次の段落でお話しします)。
③面接
面接は一部の高校で実施されます。面接の形式は個人面接、集団面接があり、高校によって異なります。面接の時に主に聞かれるのは、志望動機や高校に入ってからやりたいこと、将来の夢、また、中学校で頑張ったことなどですが、最近のニュースについて感想を求められるなど質問の内容はさまざまです。
一般入試には「二次入試」もあります。すべての学校、学科で実施されるわけではなく、実施校や学科、募集人員は一次入試の合格発表後に大分県教育委員会が発表します。
一次入試に出願した人しか出願できません。二次入試の合否は、調査書または学力検査(一次入試のもの)、小論文で判断されます。
内申点とは
大分県の公立高校の一般入試の合否は、入学試験の点数(学力検査)だけでは決まりません。入学試験の点数(学力検査)と共に重要になるのが、「調査点」あるいは「内申点」です。
なお、これまで「調査書(内申書)」という言い方をしてきましたが、「調査書」「内申書」と2つの言い方があるからです。大分県教育委員会の「令和4年度大分県立高等学校入学者選抜実施要項」には「調査書」と記載されています。ですから、大分県教育委員会の言い方では、内申書は「調査書」、調査書(内申書)に記載される「内申点」は「調査点」になりますが、ここでは以下「内申点」を使ってお話しします。
また、通知表と調査書(内申書)の違いは、通知表は生徒が自分の成績を知るために作成されるものであるのに対し、内申書は生徒が受験する高校が生徒の成績を知るために作成されるものである点です。
調査書(内申書)に記載される内申点は、通知表に1~5の5段階で記された評定を点数化したものです。
大分県の内申点は5教科(国語、社会、数学、理科、英語)の5段階評価と実技4教科(音楽、美術、保健体育、技術・家庭)の5段階評価を次の計算式で点数化します。
・中学1年の成績…(5教科×5段階評価×1)+(実技4教科×5段階評価×2)=65点満点
・中学2年の成績…(5教科×5段階評価×1)+(実技4教科×5段階評価×2)=65点満点
・中学3年の成績…(5教科×5段階評価×2)+(実技4教科×5段階評価×4)=130点満 点
中学1年~3年までの合計は260点満点になります。
この計算式を見ると、大分県では中学3年の内申点が重視されていることがわかります。ただ、内申点の計算の仕方は都道府県によって異なり、対象となる学年も違います。例えば、福岡県や東京都などは中学3年のみが対象ですし、神奈川県や富山県などは中学2年と3年のみが対象になっています。
大分県の場合、中学1年、中学2年の成績も対象になりますから、受験学年である中学3年になってからではなく、中学1年のときからコツコツ頑張る必要があります。
また、入学試験の点数(学力検査)と内申点の比率は「7:3」「4:6」「5:5」と、各都道府県、各高校で異なりますが、大分県の場合は「入学試験の点数:内申点」が、ほとんどの高校で「7:3」となっています。つまり、入試の結果の1/3は内申点が占めていることになります。
中学校にける内申点
内申点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
内申点は、各教科の5段階評価を使って計算されるわけですが、この評価はテストの点数だけで決まるものではありません。勉強に取り組む姿勢や、物事に対する判断力なども含めて評価されます。
中学校では2021年度から新しい学習指導要領が全面実施されています。新しい学習指導要領では、評価の観点として「①知識・技能」「②思考・判断・表現」「③主体的に学習に取り組む態度」の3つが示されています。
現在は情報化社会が進み、スマホなどで膨大な知識・情報を簡単に手に入れられる時代になっています。そうした状況の中で大切になるのは、知識や技能はもちろん、手に入れた情報が正しいかどうか、またその情報をどう使うべきかという思考力や判断力です。
文部科学省では、新しい時代に生きていく現在の中学生には、さまざまな事柄に関する基礎的な「知識や技能」を身につけることはもちろん、「思考力、判断力、表現力」、そして「主体的に学習に取り組む態度」が必要と考えているわけです。
①知識・技能
文部科学省の説明では、例えば歴史上の出来事を「この出来事が起きたのは何年」と単に事実や年号を覚えるだけではなく、その出来事が起こった理由やその後の影響など、出来事の本質を理解することが目指されています。
評価においても、体系的な理解や応用力がポイントになります。体育や美術などの実技科目においても、必要な技術の理解とスキルが評価のポイントになります。
②思考力、判断力、表現力
学んだ知識や技能を活かしながら、自ら問題を発見し、自ら考えた上で答えを導き出すことができているか、という問題の発見や解決能力、また、ある問題をみんなで考えていく協働的な問題解決の力も重要な評価ポイントになります。
③主体的に学習に取り組む態度
知識や技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力などを身につけるための取り組みや態度が評価ポイントになります。学校での授業だけではなく、家庭でも自ら学習の計画を立て取り組むなどの主体性が大切とされています。
では、この3つの観点は具体的にはどのような場面で評価されるのでしょう。「中学校における内申点のポイント」を見ていきましょう。
授業態度
中学校の先生は生徒の授業態度をよく見ています。授業中にまわりとおしゃべりをしたり、だらけた姿勢で先生の話を聞いていたりすると評価は悪くなります。基本的なことですが、授業に臨む態度は大切です。真面目に授業を受けている生徒はよい評価になります。
また、積極的に質問をしたり、先生の質問にはきはき答えることも好評価につながります。疑問点を明確にして質問する、あるいは質問に答える、これは大人になって社会に出てから必要な能力ですし、中学校の授業はそうした能力を養う場でもあるからです。
課題の提出
問題集やプリント、課題などの提出物は期限までに提出することが大切です。課題の提出は、テストのように点数として目に見える形では返ってきませんが、期限を確認し、自分でスケジュールを立て提出物を作成する力が試されています。課題を期限までに提出したか、しなかったかは評価の重要な分かれ目になり、調査書(内申書)に反映されます。
テスト
調査書(内申書)は学力だけを見るものではありません。しかし、「①知識・技能」「②思考力、判断力、表現力」「③主体的に学習に取り組む態度」、これらが端的に表れ、その度合いを測るうえで重要になるのは、やはりテストです。
特に定期テストは調査書(内申書)の評価の中心になります。定期テストの点数は内申点に大きく関わりますから、定期テストには真剣に取り組まなければなりません。
英検・数検・漢検などの資格取得
英検・数検・漢検などの資格を取ることは、調査書(内申書)での評価につながるかもしれません。ただ、資格があることを重視する高校もありますが、公立高校の場合、内申点を上げるために無理をして資格を取る必要はないと思います。英検などの資格を取ることは、中学での勉強のモチベーションアップにつながるという面のほうが重要かもしれません。
大分県にける内申点の計算と入学試験(学力検査)
さて、上で大分県の内申点の計算方法をご紹介しましたが、ここでは入学試験(学力検査)と合わせた形で見てみましょう。
内申点は中学1年、中学2年が65点満点、中学3年が130点満点で合計260点満点です。
仮にAさんの内申点を次の5段階評価で計算してみましょう。
・中学1年時…5教科オール3、実技4教科オール4。
・中学2年時…5教科オール4、実技4教科オール4。
・中学3年時…5教科オール5、実技4教科オール4。
すると、Aさんの内申点は、
中学1年…(5教科×3×1)+(実技4教科×4×2)=47点
中学2年…(5教科×4×1)+(実技4教科×4×2)=52点
中学3年…(5教科×5×2)+(実技4教科×4×4)=114点
内申点合計が213点となります。
なお内申点は、学年末に受け取る通知表に記された5段階評価がもとになりますが、受験学年である中学3年の場合は、入試があるため2学期までが対象となります。学年末までにすると入試に間に合わなくなってしまうからです。2期制の場合は、後期の中間テストまでの成績になります。
一方、大分県の公立高校の入試は、国語、数学、英語、理科、社会の5教科それぞれ60点満点、合計300点満点です。
大分県教育委員会が発表した「令和3年度大分県立高等学校入学者選抜学力検査(第一次)」によれば、入学試験(学力検査)の合計点の最高点は293点、学力検査合計点の平均は157.5 点となっています。平成30年度は136.8点、平成31年度は150.5点、令和2年度は154.2点となっていますから、年々平均点がアップしています。
また、学力検査合計点の分布状況については、令和2年度と比べて80点~140点未満の層が減少し、240点以上の高得点層が増えています。
仮にAさんの入学試験(学力検査)の合計点を220点とします。
すると、Aさんの入学試験(学力検査)と内申点の合計は、入学試験220点+内申点213点=433点となります。
ところで、いま単純にAさんの入学試験(学力検査)と内申点を合計してみましたが、合否の判定はこの合計点で決まるということではありません。先にお話ししたように、大分県の入学試験の点数(学力検査)と内申点の比率は、ほとんどの高校で「入学試験の点数(学力検査)7:内申点3」です。そして、合否の判定は、入学試験(学力検査)と内申点を総合的に判断して決定されます。
内申点を上げるためのポイント
上で中学校における内申点のポイントをお話ししましたが、ここで「内申点を上げるポイント」を確認してみましょう。
【大きな柱の1つは「定期テスト」の点数です】
定期テストの点数が上がれば、内申点も上がります。あたり前のように思うかもしれませんが、毎回のテストで高得点を取ることは、簡単ではありません。中学校の定期テストは出題範囲が広くなりますから、日頃の授業の予習復習が大切です。
しかし、予習や復習の仕方を知っている生徒はそう多くはありません。予習や復習の仕方を知るには実際にやってみるしかないわけですが、何をどうするかが分からなければ、そこでつまずいてしまいます。
また、予習復習のどちらに力点を置けばよいかはよく議論されるところですが、日々の授業を大切にするという観点からいえば復習が大切です。各科目の授業はすべて単元ごとに1クラスに一定の理解が形成されたとして次へ進みますから、分からないことを残しておくと次の単元で理解が遅れてしまいます。復習をしっかり行うことで分からないことが減り、授業のペースに確実について行けるようになります。
そして、授業のペースについて行けるようになると、それぞれの科目の理解が進み、その結果、定期テストにも自信を持って臨むことができるようになります。もちろん予習も大切であることは言うまでもありません。「予習か復習か」の二者一択ではなく、定期テストに向けて日頃の勉強をどうするかという観点では、まず復習を大切にして分からないことを残しておかないことが大事ということです。
【2つめの柱は授業に臨む態度です】
先にもお話ししましたが、中学校の先生は生徒の授業態度をよく見ています。真面目に、真剣に授業に臨むことが大切です。
また、新しい学習指導要領では、先生の話を真面目に聞きノートを取るということだけではなく、グループでのディスカッションや発表などにどう取り組んでいるか、自分の考えをどう伝えているかという点も評価ポイントになります。
これまでは、例えば授業中に手を上げて質問するといった目につきやすい姿勢が積極性として捉えられることが多かったのですが、自分の考えをまとめる、それを他の生徒に伝える、他の生徒の意見を聞くといったコミュニケーションの取り方など、生徒一人一人をよりきめ細かに見て評価するということです。
【実技教科もしっかり取り組む】
大分県の内申点は、5教科の5段階評価と実技4教科の5段階評価の合計になります。実技教科は、中学1年、2年時が「実技4教科×5段階評価×2」ですが、中学3年時は「実技4教科×5段階評価×4」になります。実技教科は内申点の中でも大きいのです。内申点を上げるためには、実技教科も大切になります。
実技教科は手先の器用さや体の敏捷性なども関わってきますから、「自分には無理」とあきらめてしまう生徒もいると思います。しかし、大事なのは積極的に取り組むことです。中学校の先生も生徒一人一人の向き不向きは理解しています。評価の5が取れないからとあきらめて「3でも2でもいい」と考えるより、自分なりに頑張り4を取れば内申点が上がることになります。実技教科では積極的に取り組む姿勢が大切です。
まとめ
大分県の公立高校の合否は、「入学試験の点数(学力検査)」「調査書(内申書)」とそこに記された内申点、そして、面接がある高校では「面接」での受け答えが大切になりますが、ウエートが高いのはやはり入学試験の点数(学力検査)と内申点です。
大分県の場合、入学試験の点数(学力検査)と内申点の比率は、ほとんどの高校が「7:3」、入試の結果の1/3は内申点ですから、内申点を上げる対策が大切です。内申点を上げるためには、定期テストの点数アップが中心になりますが、授業態度や課題の提出、実技教科への取り組みも重要です。
内申点の中心になる定期テストは、日頃の予習や復習がベースになります。テスト前にあわてて勉強してもよい結果が出るとはいえません。日頃の予習や復習が大切です。
文部科学省の「子ども学習費調査」によれば、塾に通う中学生の割合は公立で約7割、私立で約5割となるそうです。高校受験を控えた中学3年から塾に通う割合が多いと思いますが、予習や復習の仕方を身につけるという観点からは、もっと早い時期からのほうがよいといえます。
高校入試に備え中学3年から塾に通うのも、入学試験はもちろん定期テストの点数アップにもつながります。ただ、予習や復習の仕方を知る、つまり、勉強の仕方を身につけるにはやはり早いほうがよいのです。中学1年の時から塾に通い、自分ができる問題、できない問題を知り、できない問題を解くやり方を学ぶことは、学校での授業の理解を増し、予習復習を含めた勉強の仕方を身につけることにつながります。「塾は入試のため」というイメージが強いですが、勉強の仕方を身につける場なのです。