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第3回 ファースの家~高気密高断熱の家

荻野晃

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テーマ:木造住宅新築工事

冬季死亡増加率

4月から11月の暖かい季節に対して、12月から3月の寒い季節の月平均死亡者数がどれほど増えるのかを都道府県別に示したデータがあります。


それによると、若干古い資料ですが、全国平均17.5%に対して、大分県は約20.5%で47都道府県中36位。寒くて死亡率が高そうな北海道は約10%で1位という結果で、暖かい地方ほど冬の死亡増加率が上がる傾向にあります。

最近までの家づくりの考え方は700年前のまま


昔、古文で習った吉田兼好の「徒然草」第55段に「家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬は、いかなる所にも住まる。暑き比わろき住居は、堪へ難き事なり。」とあり、現代語に訳すと、「家を造るときは、なによりも夏が快適に過ごせることを基準に考えなさい。冬が寒くても、火を熾(おこ)したり重ね着をすればなんとかなるものだ。夏の季節を考えないで造った家は、暑さを快適に過ごす対処のしようがなくて耐え難いことになるから。」

私たちは最近まで「夏涼しく冬寒い家」を造り続けてきました。

暖かい地方に住む人は、冬寒いのにガマンして住んでいるのです。死亡リスクは高まります。700年も前に書かれた随筆を長い間信じてきたんです。

前回、健康寿命を延ばす家は「温かい家」だと紹介しました。「暖房を入れて温かい」ということではありません。温かい家にするためには、家づくりにおいて温かい家にするための「しくみ」が必要になります。

温かい家に必要な要素は、①家の中の温度 ②家の中の湿度 ③家の中の空気が清浄であること ④家の中の空気が流れていること です。

①家の中の温度
経験があると思いますが、特に冬暖房している部屋からトイレやお風呂に入るとき「寒い、寒すぎる」と感じたことはありませんか?これは、室温差によるヒートショックで体によくありません。

②家の中の湿度
ある温度に対し空気に溶け込む水分量が湿度ですが、温度によってその水分量が変わります。湿度は40~60%でなければ乾燥しすぎるとインフルエンザ等の菌が飛びやすくなるといいますし、湿度がたかすぎるとカビやそれを食べるダニの発生につながります。



③家の中の空気が清浄であること
家の中の空気を適切に外気と入れ替えないとシックハウス症候群の原因物質やカビ菌などが溜まってしまいます。



④家の中の空気が流れていること
①から③を実現するためには空気の流れをつくって澱むところを無くさなければなりません。

これらの要素を生かす家は「高気密高断熱住宅」でなければ実現できません。気密が悪ければ適切な空気の流れが出来ませんし、断熱が悪ければ外気の影響をもろにうけてしまいます。

住宅建築に携わる我々は、常にこれらの問題と戦っています。

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荻野晃
専門家

荻野晃(一級建築士)

合資会社℮-ハウス

新築でもリフォームでも、営業、打ち合わせ、設計、現場管理、ローンの相談や土地探しまで、あらゆるジャンルの資格と人脈を駆使して、住まいに関するすべてのことにおいて、ワンストップで請け負います。

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