子どもがいない夫婦の“これから”マネープラン③

三重野徹

三重野徹

テーマ:その他

大分で活動しているファイナンシャルプランナーの三重野徹です。

今回は、DINKS世帯の老後資金についてお話しします。

「うちは二人とも働いているし、老後資金もなんとかなると思っている」
そう感じているDINKs世帯の方も多いかもしれません。
しかし、教育費がかからない分、老後資金の準備を“なんとなく後回し”にしてしまうケースも少なくありません。

今回は、DINKs夫婦が実際にどれくらいの老後資金を必要とするのか、
現実的なシミュレーションを交えて考えてみましょう。

●「子どもがいない=支出が少ない」ではない



子育て費用がかからない分、確かに現役時代の家計には余裕があります。
しかし、老後の生活費は、子どもの有無にかかわらずかかります。
むしろ、支え合う家族が少ない分、「自分たちで備える部分」が増えることを意識しておきたいところです。

特に大きいのが「介護」と「住まい」のコスト。
将来的に介護施設の利用やサービス付き高齢者住宅への入居を考える場合、
夫婦で月25〜30万円、一人になれば月15〜20万円程度の生活費が目安といわれています。

●老後の生活費、実際どのくらい必要?



総務省の家計調査(2024年)によると、

夫婦2人の高齢無職世帯の平均支出は 月約27万円

単身高齢者では 月約15万円

これに加え、住宅ローンが残っていたり、旅行や趣味など「ゆとりの支出」を加えると、さらに費用はかさみます。
また、医療・介護の自己負担や、車の維持費なども考慮が必要です。

老後は約30年間あると想定すると、

27万円 × 12ヶ月 × 30年 = 約9,700万円
という大きな金額になります。

もちろん年金が一部をカバーしますが、夫婦の受給額を合わせても月20万円前後というケースが多く、
差額分(毎月7万円前後)をどう埋めるかがポイントになります。

●DINKs夫婦の「年金額の目安」



共働きの場合、年金受給額は次のようなイメージです。

働き方      年金月額(夫婦合計の目安)
夫婦ともに厚生年金加入約22〜26万円
片方が自営業(国民年金)約18〜20万円
どちらかが非正規勤務約17〜19万円

つまり、平均的な夫婦でも月5〜10万円ほどの赤字になる可能性があります。
その不足分を補うのが、退職金や貯蓄、iDeCo・NISAなどの資産運用です。

●今からできる3つの備え方


①「貯める」より「仕組み化」する


老後資金は“気持ち”ではなく“仕組み”で貯めるのがコツ。
たとえば、給与口座から自動で積立を行うなど、先取り貯蓄の仕組みを作っておきましょう。
DINKs世帯なら、毎月5〜10万円の積立でも10年後には1,000万円近く貯まります。

② 投資も「守りながら育てる」視点で


老後資金は“長期戦”です。NISAやiDeCoを活用し、リスクを分散させながら時間を味方につけましょう。
DINKsの場合、リタイアまでの期間を長く取れる人が多いため、成長型の投資信託をうまく取り入れるのも有効です。

③「年金+資産+働き方」でトータルに考える


60代以降も少し働くことで、収入を補いながら年金の繰下げ受給も検討できます。
「完全リタイア」だけが選択肢ではありません。
パートや業務委託など、負担の少ない働き方を取り入れることで、心にもお金にもゆとりが生まれます。

●見落としがちな「介護」と「おひとり」の備え



DINKs世帯にとって、特に重要なのが介護と“おひとり”の備えです。
介護サービスを受ける場合、自己負担が月5〜10万円ほどかかるケースもあります。
また、どちらかが先に亡くなったあとの生活費・住まい・相続についても早めに話し合っておくと安心です。

たとえば、

・介護が必要になったときに頼れる親族や施設をリストアップしておく

・遺言やエンディングノートを用意しておく

・資産の名義を整理しておく(共有名義や預金口座など)

こうした準備があるだけで、後々のトラブルを防ぐことができます。

●「自分たちの老後」は自分たちでデザインする時代



子どもがいないからこそ、「老後は自分たちの選んだ形で生きる」ことができます。
そのためには、お金の不安を減らして“選べる自由”を増やすことが大切です。

老後資金は「いくら必要か」よりも、「どんな暮らしをしたいか」から逆算して考えましょう。
旅行が好きな人、仕事を続けたい人、静かに過ごしたい人――理想の形は人それぞれ。
お金は、その理想を叶えるための道具なのです。

●まとめ:今こそ“未来の自分たち”への仕送りを



老後資金づくりは、「未来の自分たちに仕送りをする」ようなもの。
現役時代のゆとりあるうちに、少しずつ備えていけば、無理なく安心を積み上げていけます。

「まだ先のこと」と思わず、今日から少しずつ“老後をデザインする”習慣を始めてみましょう。

今回のテーマついて質問や相談がある方はみらいマネープランニングにご相談ください。 初回無料相談にてサポートいたします。


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三重野徹
専門家

三重野徹(ファイナンシャルプランナー)

みらいマネープランニング

ファイナンシャルプランナーとしてだけでなく公的保険アドバイザーとしても年金や健康保険、介護保険等といった公的な保障をアドバイスし、将来を見据えた「未来設計図」をお客様と一緒に作るお手伝いをしています。

三重野徹プロは大分朝日放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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