原材料と製造法にこだわったパンを低価格で提供し、地域の人たちを笑顔に（3/3）

病気がきっかけでパン作りを学び、念願だった自分の店をオープン

　素材と製法にこだわったおいしいパンをたくさんの人に届けるため、さまざまなアイデアを実現してきた礒﨑さん。営業職をしていたこともあり、「『どうやったら商品が売れるか』を考えたり、いろいろな場所に出掛け、商品をPRしたりすることが得意」と話します。

　そんな礒﨑さんが、パン店を始めることにしたのは50歳の頃。くも膜下出血で倒れ、生死の境をさまよったことがきっかけでした。「せっかくつないでもらった命だから、残りの人生は好きなことに全力を注ごうと思うようになりました」

　朝食やおやつなどで気軽に食べられ、地域の人から親しまれるパン店に目を付け、妻とともにパン作りや店舗経営について学ぶことにしました。

　そして、2021年3月、フランチャイズ店のオーナー店長となり、念願だった自分の店をオープンさせます。現在店長を務めるパン職人と出会ったことも後押しとなり、同年12月に「小麦工房kiki」として、改めてスタートを切ります。

　「毎朝、お孫さんを連れて訪れるおばあちゃん、お小遣いを握りしめてやって来る小学生たち、部活帰りのおなかをすかせた高校生。みなさんが楽しそうにパンを選んでいる様子を見ると、この仕事を選んでよかったと実感します」

　今後は自慢のパンをより多くの人に届けるため、販路の拡大やフランチャイズ展開も視野に入れて精力的に活動。お店を引っ張っていってくれるパン職人を養成することも視野に入れます。礒﨑さんの忙しい日々は、まだまだ続きそうです。

（取材年月：2022年7月）

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