ユーザー目線、経営目線のデザイン
基本的に自身の好き嫌いも、クライアントの好き嫌いも、社会から見れば誰も興味を持たないと言っていいです。そんな内向きで個人的なことよりも、外向きに街や社会や人のために「街の地域性」「今の時代のトレンド」などや、経済や人の動きなども注視してこそ「真のデザイン」が創り出せると考えます。
デザインとアートの違い
「アート」は自身のスキルや感覚で作品を創り、個展や出版などを通して自身の作品を評価していただくことを主としています。「デザイン」は依頼されたことに対して自身のスキルを最大限に発揮してエンドユーザーのために作品を創り出すことを主としています。
これは「写真家」と「カメラマン」の違いもそうだと考えます。誰のために表現するのかという点で違いがあります。
デザインはテクニックだけでは通用しない
制作においてのテクニックはものすごく大事なのですが、そもそも「何の(誰の)ためのデザインなのか」を考えることの方がはるかに大事です。
<順番>
1.対象(街や社会や人など)に対してどういう印象を与えるかを企画・議論する
2.印象を与えるための表現手法(テクニック)を考え、駆使して制作する
1と2の行為の両方ができてこそデザイナーであって、言われたことしかできないのはデザイナーではなくオペレーターといいます。
「自分」を消せるかどうかで決まる
アートではなく「デザイン」を考えるにあたっては、主観は不要です。対象(街や社会や人など)のことを主に考えなくてはいけません。対象がどうやって振り向いてくれるかのコミュニケーションをデザイン化して考えて表現するのかが重要なことです。「自分」を消すというのは決して存在を消すのではなく、自分のことよりも対象(街や社会や人など)を主として考えるという意味です。意見交換や議論の場においては思う存分に自分の言葉で理念や意見を交わし合うことはとても重要なことです。デザインや企画の段階で主観を消していれば、その意見や議論の場においても主語は「私(自分)は...」ではなく、自然に「ユーザーは...」「お客様は...」ということになり、説得力が強くなることもあります。
内向きなことも大事
もちろん外向きの対外的なことばかり考えていてもダメで、自身のスキルアップや情報収集などの内向きなことも同時に考えなくてはいけません。この内向きと外向きのバランス感がとても大事で、極端なバランス感はよくありません。世の中にはいろんな業種や業態がありますが、総じて6:4もしくは7:3の比率でやや外向きで考えるというバランス感が適切だと言われています。
そのためにも、デザインや事業においても今の社会において、常に社会を見て考えたり情報を収集することはマスト(Must)だと考えます。