通信販売の基礎を知ろう 通信販売をするメリット・デメリットを整理
通信販売といってもいろんな形態があります。
ダイレクトFAXを配布し注文を取る FAX通販
カタログを配布して注文を取る カタログ通販
テレビなどで映像を配布し注文を取る テレビショッピング
ネットに商品情報を出し注文を取る ネットショッピング
そのネットショッピングの中でも
楽天・YahooS・Amazonなど店舗を集めて運営をしている モール型
Campfire・makuakeなど出資を募る形で製作・販売する クラウドファンディング型
自社サイトを制作し、商品を販売する 自社運営型
があります。
このコラムでは過去3回に分かれてまとめましたコラムをまとめて
それぞれの出店方法の特徴をまとめております。
目次
モール型の特徴
〇見込める集客力
モールに出店する最大のメリットは集客力です。
ニールセンデジタルの調査結果(2020年4月)では
Amazon・楽天の利用者数は5千万人を超え、Yahoo!ショッピングでも3千万人に迫る利用者を確保しております。 また再度利用したくなるポイント制度など利用回数を増やす仕組みを持っています。
〇安心の決済方法
決済方法を豊富に備えているのに加え、クレジット不正利用の調査も強く、
得られる収益を期日に必ず支払われる点は当たり前のように見えて非常に重要なことです。
(当たり前ではないというのを後に解説します)
〇出店・決済手数料について
モールの出店料・決済手数料合計は7~18%(特に楽天はプラン次第)
いろいろかかるのというのが現実的な話なので概算では15%前後を見ておきましょう。
〇ある程度固定されたページ作り
ページ設定のフォーマットが決まっており、ある程度の知識があれば一定の商品ページを作れるようになっています。HTML言語で画像表示・改行ができる、画像作成ソフトで商品画像が作れる ができればとりあえずは大丈夫です。
モール出店のまとめ
モール内にはお客様はたくさんいらっしゃいますので、仕入れ商品を多種類持っているか、知名度のある自社商材があれば売り上げを大きく伸ばすことも可能です。メリハリをつけた戦略を組めば利益を十分に出すことも出来ますが、競争が激しい面があり、商品を出していれば売れるという甘いものでもないのが現実です。
発送の見直し、業務の効率化、他社商品との差別化などをしっかりと取り組み、どの業界でも言えますが、お客様のご要望にお応えし続けることが大事になってきます。
自社運営型の特徴
〇集客は自分でする
ネット広告を打つ、自店舗から誘導する、自身のYoutubeやTwitterなどから誘導するなど方法はいろいろあります。主なものの特徴・対策をまとめますと
☆クリック報酬型広告
→ キーワードに対する単価を決めてページがクリックされたときに広告費が発生します。収益化するにはリンク先での購入転換率(見て購入に至る率)と利益額があっているかで判断します。
クリック数×広告単価÷購入転換率 < 利益額
☆自店舗からの誘導
→ 実店舗を持っていて、ネットショップで買ってもらう方法です。遠方から訪問できない場合に送料を頂いて発送します。便利ですが実店舗でお買い得でも送料が乗るのでお買い得感が薄れる問題があります。
対策としては
□ネットショップ用に送りやすい形状・重量に商品を開発する
□豊富な発送方法を準備する。
□ルート販売・配達ができる業態なら相対的に送料を抑えられる。
☆自身のチャンネル・ページからお客様を誘導する
→ 一番広告費自体はかからない。
あとはどれくらいの人数を自身のページに呼び込めるかがポイントになります。万単位の登録者は物販をするには最低必要になります。ページ誘導率は0.01~5%程度幅広く低く見ておいたほうが現実的になります。
ページ・動画視聴数×ページ誘導率×商品利益額÷購入転換率=手元の利益
〇決済方法は自分で用意する
決済方法はカードや携帯キャリア決済、IC系の支払い方法は80~90%の利用者(重複を含む)にも上り、次いでコンビニ決済もまだ数多く残っています。代引き・銀行決済はありますが、利用者がかなり減っています。
完全自社サイトの場合は豊富な決済方法が購入転換率に大きく寄与します。かご落ち(かごに入れるまで進んでいるのに、購入を断念すること)はかなりもったいないです。
決済手数料はおおよそ3~7%ですが、業者選定の際にクレジット不正利用時の対応については十分に調べる必要があります。 薄利多売に陥りがちのこの業界で、商品を発送した不正利用者分の支払いが取消されてしまった場合、数か月単位の利益が吹き飛ぶこともあるからです。慎重に決済代行業者を選びましょう。
〇ページは自由制作できる
特に自社ブランドであれば通販サイトに乗せられる情報は公式ページと同じ広告塔の役割を果たします。ページの出来と説明内容が購入転換率に大きく作用します。必要なところは外注するなど柔軟に対応しましょう。
自社店舗型のまとめ
ネットショップの売り上げは 「アクセス数」×「購入転換率」×「客単価」で算出できます。 自社サイトショップは 「アクセス数」の伸び悩みと、サイト整備不良による「購入転換率」の低さが問題になる場面が多くなります。 ただし、これらを解決できれば(ですが)利益幅は大きく取れるので非常に大きな柱になりえます。ただし、不正利用等の責任もすべて自社で処理・被ることもあります。リスクと利益、両方考えて臨みましょう。
クラウドファンディング型の特徴
自身のアイデアや商品開発案に多数の出資者を募り、資金を調達するのがクラウドファンディングです。また資金を募った代償として何らかの形でリターンをする必要があります。
「購入型」「融資型」「株式型」「ファンド型」の4タイプに分けられますが、今回解説するのは「購入型」です。
購入型クラウドファンディングでできること
購入型の特徴として、事業開設資金を募る場としても使えますが、主に新商品の開発・テストマーケティングの場として活用することが多いと思います。
〇新商品の開発資金を募る
新商品を開発する際にどうしても必要なのが開発資金です。企画・商品コンセプトを公表し、目標金額を決めて出資を募ります。目標金額に届けば商品を開発し、この場合のリターンは開発商品になることが多いです。
後程説明しますが目標金額が届かなかった場合、企画を断念し開発を中止することも出来ます。
〇開発商品のテストマーケティング
まだ世に出ていないが開発した商品をテストマーケティングの場として販売することが出来ます。リターンの設定を販売売価として世の中の需要があるか、売価設定があっているかを集まった出資金額で見定めることができます。 目標金額に届かなかった場合、キャンセルする設定も出来ますが、商品があるのであれば基本的には出資者へリターンを渡したほうが良いでしょう。
〇新商品の認知・ブランド力形成
クラウドファンディングで目標額に達成し、特に大きく達成した場合は
「□□□(クラウドファンディング会社)で○○〇%達成!」と大きく謳うことができます。
出資者がそのまま商品の顧客・ファンでついてくる可能性が高いのと、
出資金額が目標に達する=世の中の需要を捉えている という意味もあるので、今後の営業活動で大きな力になります。 ただし、クラウドファンディング中にリターン(売価)設定の金額を下げすぎた場合はその後の販売活動に影響が出る可能性があります。
購入型クラウドファンディングの流れ
1 企画の内容決め
まず企画の内容を決めます。内容の詳細はクラウドファンディングサイトの担当者と詰めていくことになります。内容決めの際に表現の注意などの監査も行われます。
2 企画の設定・出資受付開始
内容が決まるとリターン内容と目標金額を決めて出資を募り始めます。
購入型のリターンは主に開発商品や新商品を設定いたします。
ここで目標が未達成の場合の設定を以下の2つから行います。
設定は「All In」方式と「All or Nothing」方式の2種類に分けられます。
「All In」= 結果にかかわらず必ずリターンを返す
集まった出資額が目標金額に達しなくても予定していた事業を実施し、出資者に期日までにリターンをおこなわなければなりません。開発が終わっていない商品の場合はお勧めしません。
「All or Nothing」= 目標未達なら失敗・没企
募集期間中に目標額に達しなければ、すでに受けている出資を返金しなければなりません。返金の際はクラウドファンディング取扱業者へ手数料を支払う必要もあります。
新商品の開発資金を募る場合は致し方ありませんが、少なからず手数料や企業の信頼問題が出てきますので安易に考えないほうが良いでしょう。
3 クラウドファンディング終了→リターンの実行
目標達成、もしくは「All In」の場合は期日までにリターンを行う必要があります。
集まった資金で商品開発・リターンを行いましょう。
集まった資金の入金時期は利用したクラウドファンディングの会社によって違います。
あらかじめチェックしておきましょう。
クラウドファンディング型のまとめ
商品開発や新商品のマーケティングなど、新しい構想・商品を世の中に売り出す際に使用することができる大きな利点があります。 通販をやったことが無くても、販売店舗を持っていなくてもできる手段なので活用をおすすめいたします。
目標金額に届いた場合、ファンとブランド力を兼ね備えた状態で世の中に売り出せるので、今後の見通しも明るくなります。
ただし、目標に届かなかった場合のことも理解しておく必要があります。
開発の場合は手数料だけが発生したり、企画の中断に追い込まれるなどデメリットも確実に存在することと、マーケティングの場合は失敗という現実を見る必要が出てきます。
失敗の原因は「価格」「認知度」「商品(構想)力」が当てはまりますが原因は1つとは限りません。特に「認知度」を気にしがちですが何が不足しているのか、これだと思い込まずに確実に原因を探し当てる必要があります。場合によっては断念する必要もあります。
メリット・デメリット、クラウドファンディングの特性を理解してぜひチャレンジしてもらえればと思います。