「年収の壁」を意識せずに働ける環境づく(1)
仕事と育児・介護の両立を支援する「改正育児介護休業法」が5月24日の参議院本会議で可決成立しました。
この改正により、来年4月から子の出生直後から一定期間育児休業給付金の給付率が引き上げられます。現在は休業開始から通算180日までは、社会保険料の免除を含めて実質手取り額で賃金の8割相当の給付が受けられますが、来年4月からはこの期間のうち、父親が子どもの出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間の以内について、両親ともに14日以上の育休を取得した場合、実質手取り額が最大28日分、10割相当に引き上げられます。
また、育休を取得しやすい職場環境づくりのために、育休取得者の代わりに業務を行う従業員に手当を支給するなどの体制を整えた中小企業への助成を大幅に強化されています。
他に、3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者を対象に、「親と子どもの選べる働き方制度」が創設されます。この制度では、全事業主は①フレックスタイム・時差出勤、②育児のためのテレワーク、③短時間勤務、④保育施設の設置運営、⑤子の養育のための休暇の中から2つ以上の制度導入が義務付けられます。
賃金が下がることで短時間勤務をためらう労働者もいます。そこで、来年度からは2歳未満の子どもを育てる短時間勤務者を対象に、短時間勤務時の賃金の最大10%を支給する「育児時短就業給付」が新設される。残業免除の申請期間も、現在の「3歳になるまで」から「小学校就学前まで」に延長されます。
更に、1人につき年5日(2人以上で10日)付与されている就学前の子どもが急な病気などに利用されている「看護休暇」を、来年度から感染症に伴う学級閉鎖や、入園式や卒園式などの行事でも利用できるようになります。しかも利用できる対象年齢を「小学校3年修了時まで」に引き上げられます。
介護においては、介護を理由とする離職を防止するため、国の支援制度などに関する情報を40歳の時点で従業員に提供を事業主に義務付けます。