子犬の噛み癖のしつけについて
前回の続きです。
(前回)>フィラリア症(犬糸状虫症)予防について①
Q5.1回飲ませ忘れてしまった!大丈夫?
A1.1回の投薬忘れならば、すぐにお薬をあげれば大丈夫です。
蚊から感染したミクロフィラリア(L3:感染子虫)がわんちゃんの体内で成長し(L3→L4→L5子虫)、血流にのって心臓に到達するまで2~3ヶ月の期間がかかります。従って1回の投薬忘れ(2ヶ月空き)程度であれば、すぐにお薬を飲ませてあげれば問題ありません。逆に3ヶ月以上お薬の間隔が空いてしまうと、地域によってはすぐに感染してしまう危険性があるため、やはり投薬忘れには気をつけましょう。
ちなみに、飲ませ忘れた後にすぐ検査をしても感染の有無はわかりません。
Q6.フィラリア症にかかってしまった。治療法は?
A6.100%安心・安全な治療法は存在しません。
治療法には大きく分けて3つあります。
①心臓に寄生した成虫は駆虫せず、それ以上の重感染を防ぐために飲み薬を服用し、
心臓内の成虫の寿命(7~8年)を待つ。
②心臓にいる成虫を注射薬にて駆除する。
③心臓にいる成虫を手術にて摘出する。
この3つの治療法はリスクと期待する治療効果がそれぞれ異なるため、治療選択は感染してしまったわんちゃんの状態によって変わります。(年齢・心臓の拡大程度・性格(治療中ケージ内で安静にできるか)・緊急性の有無・他)
しかしながら、何れの治療法も非常に大きなリスク(治療中に死亡してしまう危険性)を伴うことと、治療を行ったとしても完全に元の健康な状態にもどることは難しいです。やはり何よりもまず絶対に感染させないこと、予防が最も重要です。
Q7.毎月飲ませるのが大変。忘れてしまうし、きちんと飲ませられているか心配。飲み薬以外の他の方法は無いの?
A7.あります。
まず飲み薬には、錠剤、粉薬、チュアブル(クッキータイプ)があります。
飲み薬が苦手な子には、スポットオンタイプ(首の後ろに液体をたらすタイプ)があります。
昨年からは、注射を1回接種するだけで1年間予防ができるものも発売されました。
錠剤などは、飲ませたつもりでも隠れて口から出してしまっていたりすることもあるため、確実に飲み込んだことを必ず確認するようにしましょう。
飲み薬・スポットオンタイプ・注射のそれぞれメリット・デメリットがありますので、詳しくはかかりつけの動物病院にてご相談下さい。
Q8.猫ちゃんにもフィラリア症はかかるって本当?
A8.実はかかります。
近年、獣医学領域において猫ちゃんへの犬糸状虫感染が確認されています。
感染するということは確実に確認されている(剖検などにより)にもかかわらず、今のところあまり動物病院において予防が啓蒙されていないのが現状です。その理由は、猫ちゃんのフィラリア症は症状が非常にわかりにくいためです。また診断法・検査法もはっきりしたものが確立されていないからにほかなりません。
猫ちゃんのフィラリア症の症状は主に食欲不振・元気消失・咳・などであり、その他の病気との鑑別が大変困難です。突然死することもあります。血液検査で確定することもわんちゃんのようにはできません。唯一の確定診断が心臓のエコー検査になりますが、これも「検査をうける猫ちゃんの心拍数が早くなく、ある程度以上の性能を持つエコー機械を使用し、心臓のエコーに熟練した獣医師」でなければ確定診断はできません。(当院では猫ちゃんのフィラリア症を確認した例はあります。)
検査・診断が難しい病気の予防を勧めることは難しい現状です。現段階では簡便に確定診断ができる検査法の開発が急がれている状況です。しかしながら、わんちゃんのフィラリア症の感染率が高い地域においては、必然的に猫ちゃんのフィラリア症の感染率も恐らく高いだろうと推察されています。前回のコラムで書いたように、長崎はフィラリア症のわんちゃんは非常に多い地域です。
猫ちゃんもフィラリア症の予防をしましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。